1994 Fiscal Year Annual Research Report
フィブロネクチンフラグメントのST-13前脂肪細胞分化誘導作用-プロテオグリカンの産生誘導を介した分化誘導機構の解析-
Project/Area Number |
06680698
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
深井 文雄 東京理科大学, 薬学部, 講師 (90124487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 敬 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00013897)
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Keywords | フィブロネクチン / フィブロネクチンフラグメント / 分化 / 脂肪細胞 / プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / レセプター |
Research Abstract |
フィブロネクチンのアミノ末端ドメイン由来のフラグメント(24K Fib1フラグメント)はST-13前脂肪細胞の脂肪細胞への分化を誘導する活性を有することを見いだし、更にこの24K Fib1フラグメントの分化誘導作用が、Fib1フラグメントによってST-13細胞から遊離してきたプロテオグリカンの作用に基づいたものである可能性を示してきた。この分化誘導作用を有するプロテオグリカンの分離精製を試みた。ST-13前脂肪細胞を24K Fib1フラグメントにより分化誘導した時の培養上清に尿素(4M),デオキシコール酸(0.1%),および各種プロテアーゼ阻害剤を添加した後、DEAEセルロースクロマトグラフィーを行ないプロテオグリカン画分を集めた。この操作を繰り返すことにより、2lの培養上清を出発材料としてタンパク1mg,ウロン酸0.5mgを含む部分精製プロテオグリカン標品を得た。本標品のST-13前脂肪細胞に対する作用を解析したところ、ウロン酸としてわずか20ngを培養系に添加しただけで、強力な分化誘導活性を示すことが明らかになった。電気泳動およびゲル濾過パターンから、本標品中に含まれるプロテオグリカンは分子量40-60万、コアタンパク鎖の分子量は約4万、コンドロイチン4硫酸を主要なグリコサミノグリカン鎖として持つプロテオグリカンであることが明かとなった。本標品はいまだ部分精製標品に過ぎず、このプロテオグリカンが活性本体であるとは断定できないものの、本標品をコンドロイチナーゼABCで処理すると分化誘導活性が消失することから、グリコサミノグリカン鎖が活性発現に重要な関わりをもっていると考えられる。現在、活性プロテオグリカンの完全精製を進めると共に、抗体を作製し、これを用いた生体中での本プロテオグリカンの発現および分布の解析、更には他の細胞への作用等を究明すべく実験を進めている。 尚、本年度実施計画のFib1フラグメントに対するレセプターについては、アッフィニテイークロマトおよびクロスリンク法により、分子量60kDaのβ1タイプインテグリンとは異なるタンパクが分離されたが、詳細は平成7年度の報告書に記載したい。
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