1994 Fiscal Year Annual Research Report
高度情報化社会における名誉羞恥感情の変容に関する知識社会学的研究
Project/Area Number |
06801021
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 芳保 札幌学院大学, 社会情報学部, 助教授 (40175211)
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Keywords | 情報資本主義 / 名誉心 / 羞恥心 / 虚栄心 / 出世主義 / 心の商品化 / 売買春 / ワイセツ |
Research Abstract |
年度末に『情報資本主義と名誉・羞恥感情 第1集』という報告書(B5版108頁)を刊行した。そこに今年度のこれまでの主な研究成果は集約されている。札幌地区の若手社会学研究者有志の協力を得て「名誉・羞恥感情研究会」を組織し、今年度、計8回にわたって研究会を開くことができた。上記報告書の第1部に載っている論文二点は、この研究会の今年度の明示的な成果である。また「新しい社会運動」の研究者であるアルベルト・メルッチ教授の来日時に「ヤイユ-カラの森」を会場にして、アイヌ問題について検討する座談会を開催し、その記録を本学部紀要『社会情報』4巻2号に掲載したが、それもこの研究会の成果である。この座談会の開催を通して発掘された「アイヌ民族からみた名誉・羞恥感情」は、今後も引き続き綿密に検討していくべき課題となっている。この他にも上記報告書に記したように「名誉・羞恥感情」に関わる現象として検討していくべき課題が多々みつかり、次年度の研究計画は内容的にたいへん豊かになっている。 なお、高度情報化社会における「名誉・羞恥感情」について検討していくにあたっては現代日本の社会構造と社会意識の実態について、広範に把握しておく必要がある。そのために東京地区、道内遠隔地地区等々に出張して、例えば、「障害者」問題やミス・コンテスト問題などこの現象に関わる各種の情報を得たり、各種資料を購入したことの意味は大きかった。本研究と並行して札幌学院大学学内奨励金の援助を得て「情報資本主義と「心の商品化」の動向に関する研究」を実施したが、「名誉・羞恥感情」と「心の商品化」という二つのテーマは相互に重なり合うものであり、実際のフィールドワークにあたってはこの二つの研究を合同した形で行うことが多かった。「心の商品化」の動向についてアムウェイビジネスの動態を通して得た知見は今後の本研究の実施上、非常に有益である。
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