1994 Fiscal Year Annual Research Report
β-グルクロニダーゼに対する寄生体由来の受容体の病理学的意義。特にらい病変において。
Project/Area Number |
06807023
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松尾 英一 杏林大学, 医学部, 教授 (30086532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 傑 杏林大学, 医学部, 助手 (70255404)
小松 明男 杏林大学, 医学部, 助教授 (20225569)
|
Keywords | leprosy(癩) / binding protein(結合蛋白質) / β-glucuronidase / ELISA |
Research Abstract |
結論の得られた事項: らい菌は、末梢神経やらい細胞に多量に含まれるヒアルロン酸を自己の酵素結合蛋白質(β-glucuronidase-binding protein:BGBP)に結合させた宿主由来の酵素を用いて分解代謝して増殖する。一方、癩菌以外にhepatitis B virus やmycobacterium avium-intracellulare等の寄生体やlegumeもBGBPと免疫学的交叉反応性を示す分子を生成する。よって我々はpisum sativum(豌豆:PS)のtrypsin消化後、調整用電気泳動装置によってBGBPを精製した。また、BGBPの分子量は11,990前後である。しかしながらBGBPはより大きな分子由来であるからこの分解精製過程と同様な代謝過程を経てBGBPを抗原として提示出来る個体はこれに対し免疫反応を示せる筈である。よって今回9人の癩患者ならびに55人の健常者で実際にBGBPに対する免疫反応能力の証拠として血清中に抗体を示す人の有無を通常のELISA法により測定、検討した。抗BGBPIgG抗体は両群にともに認められ、最高値は両群ともに12、800倍であり、差はなかった。以上は多量のBGBPを産生する癩菌によって長年感作され続けてきたはずの癩患者が健常者以上には抗BGBP抗体を持たず癩患者は癩菌が産生する高分子の中からBGBPを描出し、少なくとも液性免疫機構にこの情報を提示して、機構を活性化させてはいないことが分かった。 未解決項目: 実験らいについて:HI-75(癩腫由来の抗酸菌)のnude-mouseへの接種による末梢神経でのこの菌の増殖の佐々木等による実験を改良、末梢神経炎をより早期に見れる方法への改良のために提唱した方法はマウスの動脈や末梢神経が細すぎて不可能であることが分かった。よって現在この菌を大量に静脈内投与する事により、菌血症を起こさせ末梢神経炎を起こさせる方法を試行中である。
|