1995 Fiscal Year Annual Research Report
チトクロームP450II E1遺伝子の多型性とアルコール代謝能およびその法医学的応用
Project/Area Number |
06807042
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Research Institution | kobe University |
Principal Investigator |
足立 順子 神戸大学, 医学部, 助手 (40030887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 猛章 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00068339)
龍野 嘉紹 神戸大学, 医学部, 教授 (80030831)
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 助教授 (30184956)
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Keywords | チトクロームP450 II E1 / 飲酒実験 / アルコール代謝能 / アルコール症患者 |
Research Abstract |
1.昨年度に引続き末梢血から常法に従ってDNAを抽出し、P450II E1遺伝子型を判定した。アルコール症患者は昨年48名から124名にふやした。そのうちC_1/C_1は75例、C_1/C_2は43例、C_2/C_2は6例であるのに対し、健常人54名のうち、C_1/C_1は28例、C_1/C_2は25例、C_2/C_2は1例であった。遺伝子頻度は、アルコール症患者ではC_1=0.78、C_2=0.22であるのに対し健常人では、C_1=0.75、C_2=0.25であり遺伝子の分布に差はなかった。 2.健常人被験者に、体重1Kg当たり0.4gのアルコールを空腹時に経口摂取させた。血中アルコール濃度曲線の消失過程を直線回帰して計算した。健常人のAlDH2遺伝子型を判定し、そのAlDH2遺伝子型で分類した上で、P450 II El遺伝子型別に代謝速度を調べた。最高血中アルコール濃度の平均値は0.5mg/mlである。ALDH2*1/2*1型 群とALDH2*1/2*2型 群の各々においてアルコール代謝速度(β値)はC_1/C_1群の方がC_1/C_2型群よりも高かった。この結果は血中アルコール濃度が低い場合に、C_2遺伝子の効果が現れていないことを示している。 3.アルコール症患者65名の血清アルブミン値、コリンエステラーゼ活性、総ビリルビン値を調べ、これらとアルコール代謝速度との関連を調べた。血清アルブミン値やコリンエステラーゼ活性はβ値およびP450 II E1遺伝子型と関係がなかった。総ビリルビン値2.0mg/dl(肝硬変の予後不良とされる値)の11名とその他の群の2群に分けて検討を行ったが、特に差異はなかった。肝機能障害と代謝速度との関連は不明であった。
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Research Products
(1 results)