1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラット上腸間膜動脈結紮時における脳内C‐fos発現について-免疫組織化学的検討-
Project/Area Number |
06807103
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
長谷 貴將 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00198706)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経生物学研究センター, 助教授 (20207533)
木村 宏 滋賀医科大学, 分子神経生物学研究センター, 教授 (40079736)
|
Keywords | c‐fos / 上腸間膜動脈閉塞症 / 敗血症性脳症 / ラット脳 / 免疫組織化学 / エンドトキシン / 抗利尿ホルモン |
Research Abstract |
平成6年度において、ラット上腸間膜動脈結紮後、(1)脳質周囲器官(2)視床下部(3)脳幹部(4)辺縁系を中心に、脳内の特定の神経核においてc‐fosが発現することが免疫組織化学的に確認された。この事実から本症において中枢神経系が(1)視床下部-下垂体前葉-副腎皮質系(2)視床下部-下垂体後葉(3)視床下部-交感神経系-副腎髄質系のみならず、辺縁系にも活性化が起こっていることを示唆している。これは臨床的には、敗血症にしばしば見られる精神不穏、神経症状の発現(敗血症性脳症)を神経解剖学的に裏付ける可能性があると考えられた。これを受けて平成7年度は、このc‐fos発現が痛みなどの神経因子によるものか、エンドトキシン、サイトカインなどの液性因子によるものかを明らかにするため、上腸間膜動脈結紮ラットと無処置ラットを共通循環とする実験を行った。その結果、無処置ラットの脳内にも処置ラットよりは軽度ではあるが、ほぼ同パターンのc‐fos発現が見られたため、液性因子の関与が強く示唆された。血中エンドトキシン濃度は6時間以降に上昇するため、初期のc‐fos発現にエンドトキシンは関与していない可能性が強いと考えられた。現在はc‐fosがどのような遺伝子の誘導に関与しているか(抗利尿ホルモン、副腎皮質ホルモン放出因子、チロジン水酸化酵素、ガンマアミノ酪酸合成酵素など)をin situhybridizationによって検索中である。今後はc‐fos発現をおこす液性因子のうち、敗血症性脳症の原因となるもの、代謝亢進をもたらすようなものなど、敗血症患者にとって有害な物質を同定することとその除去方法を確立することが必要であると考えられる。
|