1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041016
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Research Institution | Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青木 保 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80062636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YALMAN N. ハーヴァード大学, 人類学部, 教授
多和田 裕司 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (00253625)
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (10114703)
北岡 伸一 東京大学, 法学部, 教授 (80120880)
梶原 景昭 北海道大学, 文学部, 教授 (10116014)
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Keywords | 異文化共存 / 地域開発 / 文化の再編成 / グローバリゼーション / 情報化と地域開発 / 情報化と異文化共存 / 文化政策 |
Research Abstract |
異文化共存という観点から「地域開発」をとらえる場合、地域開発をグローバリゼーションの影響や新たな文化現象と関係づけて研究する必要性が、前年度までの研究によって明らかになった。今年度は、「地域開発」との関係で、異文化の問題がどのようなかたちで表出してきているか、その複雑な関係とプロセスを追究することに重点を置きつつ、実態調査研究を継続した。 地域開発が、とりわけ都市部と開発拠点となる新開地において「異文化」の問題をより際立たせることになっている事例として、次の点が明らかになった。 (1)急激な開発、発展の結果、都市への人口集中が進む一方で、都市にはそれを吸収する力がなく、さまざまな異文化集団が、都市において経済的・社会的にマージナルな位置にとどまり、異文化のパッチワーク的現象を生みだしていること。 (2)都市部と地域との経済機会、教育機会の不均等が拡大するにつれて、それが都市都内における異文化集団間の機会不均等というかたちで表出してきていること。 (3)情報化の進展とともに、地域の開発・発展の問題は、場合によっては国際的なメデイアを介して、すぐに都市部に「情報」としてもたらされ、都市における異文化集団間の「相互理解」に影響を及ぼしつつあること。 (4)グローバリゼーションが新しい生活文化の出現を促し、これがアジア各地に「同一化現象」を生みだす傾向を示すが、それが同時に伝統的な文化との葛藤をもたらしてもいる。「異文化共存」にとって見逃せない問題となってきたこと。今後の一大研究課題である。 最終研究年度にあたる今年度は、これらの調査研究成果を「グローバル化する現代における地域開発と異文化共存」というより広いコンテクストでとらえるため、国際シンポジウムを行い、討論によってテーマの理解を深めるとともに、研究報告書にその成果を反映させた。
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 青木 保: "儀礼という領域" 岩波講座「文化人類学」. 9巻. 3-19 (1997)
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[Publications] 青木 保: "閉じる神、開く神" 河合隼雄・村上陽一郎編「現代日本文化論」. 12所収. 204-224 (1997)
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[Publications] 青木 保: "宗教のゆくえ" 岩波講座「文化人類学」. 11巻. 3-15 (1997)
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[Publications] 北岡 伸一: "橋本外交の現状と展望" 「アジア時報」. 3月号. 20-46 (1998)
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[Publications] 北岡 伸一: "日本政治この一年" 中央公論. 1月号. 38-49 (1998)
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[Publications] 北岡 伸一: "与野党関係のダイナミックス" 中央公論. 1月号. 28-37 (1997)
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[Publications] 梶原 景昭: "課題としての文化" 岩波講座「文化人類学」. 13巻. 1-16 (1998)
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[Publications] 梶原 景昭: "民主主義と文化の課題" 岩波講座「文化人類学」. 13巻. 119-142 (1998)
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[Publications] 梶原 景昭: "アジア化の進展とデモクラシー" 青木保他編『アジア的価値とは何か』. 239-259 (1998)
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[Publications] 多和田 裕司: "イスラームというか:マレー・ムスリム社会における文化的理念への指向" 岩波講座文化人類学「紛争と運動」. 6巻. 259-281 (1997)
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[Publications] 多和田 裕司: "現代日本における「熱帯」楽園イメージ:マレーシアを例として" 長崎大学人間環境研究会(編)「環境と文化」. 78-92 (1997)
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[Publications] 多和田 裕司: "多民族国家マレーシアにおける「開発政策」と「国民統合」" 「長崎大学教養部紀要(人文自然科学篇合併号)」. 37巻第1号. 127-143 (1996)
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[Publications] 山室 信一: "『多にして-』の秩序原理と日本の選択" 青木保他編『アジア的価値とは何か』. 43-63 (1998)
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[Publications] 山室 信一: "民族協和の幻像-満州帝国の逆説" 山内昌之他編『帝国とは何か』. 225-247
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[Publications] 山室 信一: "住宅・土地をめぐる法政思想の基底-欧米・日本・中国を事例として-" 住宅、土地問題研究論文集. 20集. 139-156 (1995)
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[Publications] 青木 保: "「逆光のオリエンタリズム」" 岩波書店, 251 (1998)
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[Publications] 青木 保: "『「アジア的価値」とは何か』共編(佐迫啓思)" TBSブリタニカ出版局, 286 (1998)