1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041036
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
安田 善憲 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50093828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伍 宗か 四川連合大学, 大学院, 院長
霍 巍 四川連合大学, 大学院, 副院長
王 明達 淅江省考古学研究所, 主任
王 毅 成都市文物考古学工作隊, 隊長
劉 徳銀 湖北省荊沙市荊州博物館, 主任
裴 安平 湖南省考古学研究所, 副所長
厳 文明 北京大学, 考古学系, 教授
何 介釣 湖南省考古学研究所, 所長
北川 浩之 国際日本文化研究センター, 研究部, 助手 (00234245)
高橋 学 立命館大学, 理工学部, 助教授 (80236322)
佐藤 洋一郎 静岡大学, 農学部, 助教授 (20145113)
金原 正明 天理参考館, 古美術部, 学芸員
外山 秀一 皇学館大学, 文学部, 助教授 (50247756)
徐 朝龍 国際日本文化研究センター, 研究部, 助教授 (80235811)
竹村 恵二 京都大学, 理学部, 助教授 (00201608)
寺澤 薫 シルクロード学研究センター, 主任研究員
樋口 隆康 シルクロード学研究センター, 所長
梅原 猛 国際日本文化研究センター, 研究部, 顧問 (60046357)
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Keywords | チベット高原 / 花粉分析 / プラント・オパール / 環境考古学的調査 / 都市文明 / C14年代測定 / 龍馬古城遺跡 / 長江文明 |
Research Abstract |
平成8年度6月には長江文明の興亡に大きな影響を与えたチベット高原の気候変動を明らかにするためにチベット高東部原のクルガイ湿原でボーリング調査を実施した。採用した試料の花粉分析の結果、現在は大草原のつらなるチベット高原東部にはかつてトウヒやモミの針葉樹林が生育しており、これらが人間によって破壊されたことが明らかとなった。こうした長江上流域の環境変動が長江文明の興亡にいかなる影響をあたえたかの解明は平成9年度の課題である。 平成8年9-11月においては、四川省龍馬古城遺跡と三星推遺跡の学術調査を実地した。その考古学発掘調査ならびに環境考古学的調査・ハイテク考古学調査を実施した。C14年代測定の結果、龍馬古城遺跡は4500年前頃構築された遺跡であることが明らかとなった。航空測量の結果、龍馬古城遺跡は長軸1100m,短軸600m、高さ7-8m、幅30-40mの巨大な城壁で囲まれた遺跡であることが判明した。花粉分析の結果はカシやシイの常緑広葉樹林を破壊して、都市型集落を構築し、そのなかではヤナギの街路樹やクワやモモ畑の存在するきわめて都市的な生活が営まれていたことが明らかとなった。プラント・オパールや寄生虫分析、昆虫化石の分析結果では、城内では水田は存在しなかったことも解明された。発掘調査の結果、城壁に囲まれた都市型集落の中心部には、南北に長軸を持ち、最下壇が60×40mの三段のピラミッド型祭壇が存在したことが明らかとなった。祭壇の北東隅からは犠牲になったとみなされる人骨も発見され、そのC14年代測定結果もやはり4500年前であり、城壁の構築と連動して、きわめて計画的に営まれた都市型の集落が4500年前に四川盆地ですでに出現していたことが解明された。さらに四川省の学術調査と併行して、長江中流域の湖南省の環境考古学的調査を実施した。以上の平成8年度の学術調査の結果、長江流域において4500年前の都市文明が誕生していたことがほぼ確実となった。なお、浙江省良渚遺跡群の発掘調査許可が下りなかったため、遺跡群の環境考古学的調査は実施できなかった。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 安田善憲: "稲作の環境考古学" 季刊 考古学. 56. 14-17 (1996)
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[Publications] 安田善憲: "Pollen morphology of Himalayan Pinus and Quercus and its importance in Palylogical studies in Himalayan area." Review of Palaeobotany and Palynology. 91. 317-329 (1996)
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[Publications] 安田善憲: "Climatic change and the development of Jomon culture in Japan." "Nature and Humankind in the Age of Environmental Crisis"International Research Center for Japanese Studies International Symposium. 6. 57-77 (1995)
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[Publications] 外山秀一: "日本列島の稲作の始まり" 季刊 考古学. 56. 39-43 (1996)
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[Publications] 高橋学: "稲作と環境考古学" 季刊 考古学. 56. 44-48 (1996)
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[Publications] 金原正明: "稲作とともに拡大した病気" 季刊 考古学. 56. 64-69 (1996)
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[Publications] 寺沢薫: "稲作と弥生文化" 季刊 考古学. 56. 70-76 (1996)
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[Publications] 北川浩之: "Climatic implications of dl 3C variations in a Japanese cedar (Cryptomeria japonoca) during the last two millenia (with Matsumoto)." Geophysical Research Letter. 22. 2155-2156 (1995)
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[Publications] 佐藤洋一郎: "稲のルーツ" 季刊 考古学. 56. 27-31 (1996)
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[Publications] 徐朝龍: "稲作と長江文明" 季刊 考古学. 56. 32-34 (1996)
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[Publications] 厳文明: "稲作の起源と伝播" 季刊 考古学. 56. 18-21 (1996)
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[Publications] 安田善憲: "森の日本文化" 新思索社, 207 (1996)
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[Publications] 安田善憲: "森と心と文明" NHK出版, 218 (1996)
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[Publications] 梅原猛: "幻の長江文明-良渚遺跡への旅" PHP, 102 (1995)
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[Publications] 佐藤洋一郎: "DNAが語る稲作文明" 日本放送協会, 227 (1996)