1996 Fiscal Year Annual Research Report
ネパールにおける農業開発と開発援助-農業技術移転の視点から-
Project/Area Number |
07041043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土井 時久 北海道大学, 農学部, 教授 (60137388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NARAYAN P.Dh Agricultural Projects Services Center, 研究員
栗木 レタンギェップ 城西国際大学, 経済情報学部, 教授
修 震杰 北星学園大学, 経済学部, 講師 (90285510)
近藤 巧 北海道大学, 農学部, 助手 (40178413)
長南 史男 北海道大学, 農学部, 助教授 (00113697)
茅野 甚治郎 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (40163729)
佐々木 市夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (70125384)
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
久保 嘉治 帯広畜産大学, 学長 (40003074)
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Keywords | 灌漑農業 / 技術援助 / 技術移転 / 浅井戸灌漑 / 深井戸灌漑 / ネパール / タライ地域 |
Research Abstract |
平成8年9月にネパールから3名の専門家を招いて,今年度の調査対象地域であるタライ地方の潅漑問題に関する研究会を開催した。この研究会では,井戸による潅漑で乾期の農業生産性が向上していること,特に野菜の生産増加と高収量品種の普及による稲作生産性の上昇について報告された。従来の研究成果に照らしても,潅漑による生産性の上昇は一般に認められていた。 しかし,平成8年12月に実施した調査結果からは日本の技術援助による深井戸がネパール政府に移管された後の管理が不十分で,特に水路の決壊部分の修復が充分行われず,潅漑水を必要な時期に必要量を確保出来ない場合が多いことが明らかになった。このため,農民は個別に浅井戸を掘削して対応する場合が多く,かつそれでも一般にいわれるほど野菜や高収量稲新種が急速に普及に普及してるとは言えなかった。少なくとも深井戸の場合は,大部分が小麦の潅漑に利用されている。 この事実は,潅漑水を共同で利用することの難しさ,在来の農業技術から新しい農業技術への転換がそれ程容易になされるとは言えないことを示している。その経済的背景には,潅漑水利費が生産物に比べて相対的に高いこと,投入要素価格が農家にとり高価であることがあげられる。現状では、潅漑施設の整備は小麦の土地生産性向上への寄与がもっとも大きい。 なお,今年度の調査では,本調査に先立ち昨年度の調査地であるカトマンズ盆地サク村の補足調査も行った。平成9年度は,最終年度であり,これまでの調査と補足と海外援助と農業技術移転のありかたに関する包括的な研究を行い本研究の取りまとめを行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.P.Dhakal,M.Sharma,F.Osanami and T.Doi: "Farmar-managed and Government-managed Irrigation Systemsin Nepal" Jour.Faculty of Agriculture,Hokkaido University. 66・1. 139-150 (1994)
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[Publications] N.P.Dhakal,M.P.Paudel,C.P.Phokharel,F.Osanami,T.Kondo and T.Doi: "International Assistance and Fertilizer Market in Nepal" The Nokei Ronso (Hokkaido Univ.). 52. 193-201 (1996)
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[Publications] 長南史男,近藤巧,土井時久: "ネパールの農業発展と小規模灌漑システム-サク村における知見-" 農経論叢(北海道大学農学部紀要別冊). 53(印刷中). (1997)