1996 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおける経済発展と農村の変容-10年の経験-
Project/Area Number |
07041058
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
赤木 攻 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (10030157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 忠良 チエンマイ大学, 研究生
三砂 朋子 マハーサーラカーム大学, 客員講師
田野 優子 東京家政大学, 文学部, 講師(非常勤)
橋本 泰子 天理大学, 国際文化学部, 講師(非常勤)
ボーンベン ハントラクー シンラパーコーン大学, 文学部, 准教授
谷口 裕久 京都文教大学, 人間学部, 助手 (70288695)
高井 康弘 大谷大学, 文学部, 助教授 (00216607)
松薗 祐子 いわき明星大学, 人文学部, 助教授 (00164799)
竹内 隆夫 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (40105747)
北原 淳 神戸大学, 文学部, 教授 (30107916)
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Keywords | タイ国 / 農村社会 / 経済発展 / 労働市場 / 家族構造 / 地域政治 / アニミズム |
Research Abstract |
今回の2つの村における本調査は順調に終了した。これからは、15年前の調査データとの比較研究にとりかかることになる。 1.東北タイのノーンクン村では、126世帯の調査サンプルを得た。15年前と簡単に比較すれば、世帯数の増加、家族規模の縮小、村内婚の減少、高床式家屋の減少、個人的土地所意意識の明確化などが目立った。また、伝統的労働交換の慣行がすたれ、日雇い雇用が一般化しつつある。電化後の生活様式の変化は現金支出を増加させ、借金を抱え込む世帯が急速に増加してきている。ただ、少数だが、縫製業やアヒルの羽毛収集業などを営む者もでてきている。アニミズム信仰は以前として根強く残っており、モータムも繁盛している。 2.中部タイのランレーム村では、189世帯の調査サンプルを得た。ここでも家族規模の縮小傾向がみられるが、15年前に確認できた「屋敷地共住集団」はまだ残存しいる。大きな変化は、稲作農家の大幅な減少で、わずか20世帯程度を残すだけである。多くが農外就労を求め、賃労働者化を始めている。通勤圏内に工場が建設され初めたのが大きな理由である。また、家内工業への従事も見受けられる。いずれにせよ、稲作農家の激減は、タイ農業の将来を案じさせる。寺院は基本的には村人の宗教生活の中心ではあるが、興味深いことに、19名(男1、女18)もの依代が存在している。急速な社会変動とおそらくは関係しているのであろう。 この2つの異なったタイプの農村の変容をより詳細に比較分析し、経済発展との関係を理論つけたい。
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[Publications] 赤木攻: "北部タイ、チエンコーンにおけるプラーブック(Pangasianodon gigas)民族魚類学的考察" 国立民族学博物館研究報告. 21-2. 293-344 (1997)
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[Publications] 高井康弘: "北タイ農民の潅漑組織-1980年代中頃の事例" 社会学雑誌(神戸大工社会学研究会). 14. 169-182 (1996)
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[Publications] Kitahara Atsushi: "The Thai Rural Community Reconsidered" The Political Economy Center,Faculty of Economics'Chulalongkorn Univ., 190 (1996)
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[Publications] 竹内隆夫: "ASEANの家族と農村を調べる 佐藤誠(編)『地域研究調査法を学ぶ人のために』" 世界思想社, 67-81 (1996)
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[Publications] 北原淳、赤木攻(編): "タイ:工業化と地域社会" 法律文化社, 454 (1995)