1996 Fiscal Year Annual Research Report
地球規模の気候変動が北東シベリア永久凍土地域の凍土圏・生物圏に与える影響の研究
Project/Area Number |
07041078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 正己 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70002160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FEDOROV A.N. ロシア科学アカデミー永久凍土研究所, 助教授
SIDORENKO V. ロシア科学アカデミーウラジオストック生物研究所, 助手
VINOKUROVA A ヤクーツク大学, 生物学科, 助手
ZIMOV A.S. ロシア科学アカデミー極東地理研究所, 助教授
GRIGORIEV M. ロシア科学アカデミー永久凍土研究所, 助教授
KUNISTKY V.V ロシア科学アカデミー永久凍土研究所, 教授
RUSAKOV V.C. ロシア科学アカデミー永久凍土研究所, 助教授
IVANOV B.B. ロシア科学アカデミーヤクーツク生物研究所, 教授
石崎 武志 文化庁付属東京国立文化財研究所, 研究室長 (80212877)
露崎 史朗 北海道大学, 大学院・地球環境研究科, 助教授 (10222142)
安永 智秀 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (50261376)
高橋 邦秀 北海道大学, 農学部, 教授 (80281707)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部, 教授 (00154071)
渡部 英昭 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10167190)
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
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Keywords | 永久凍土 / 東シベリア / 地球温暖化 / 地下氷 / エドマ層 / メタンガス / タイガ / ツンドラ |
Research Abstract |
1 シベリア永久凍土の気候温暖化への応答 東シベリアのコリマ川下流域での永久凍土の調査を実施した。まず最近の変動傾向が及ぼす永久凍土の熱的な変動を確認するため、深さ40mまでのボーリング孔での地中温度分布の変動を2カ年にわたりモニタリングを行った。その結果、深さ20m-40mまでの変動傾向(トレンド)は、明らかに温度上昇の傾向が見られた。同様に傾向は、レナ川下流及びヤク-ツクにても見られた。 2 シベリア永久凍土中の地下氷とその融解 東シベリアのコリマ川河口域及び下流域において、永久凍土に含まれる地下氷「エドマ層」の成因とそこに含有されるメタンガス濃度の分布を調査した。堆積物に含まれる有機物による年代測定の結果、最終氷期の後半である亜間氷期(4万年-2.3万年前)とそれに引き続く亜氷期(2.3万年-1.5万年)にわたって形成されたことが判明した。またその堆積環境の指標として、メタンガスと酸素同位体の濃度変化を調べたところ、現在よりも冬季温度で6℃も温度が低下していたと予想された。 3 永久凍土地域の生物圏変動 植生調査の結果、シベリアのタイガ地域の種の多様性は、北海道の約70%程度と高い。これは最終氷期に東シベリア地域が氷床に覆われず、寒暖の変動に対して植生が高い適応性をもっていたためと考えられる。ショウジョウバエのような小動物にあっても、森林の垂直分布が明瞭であり、東ユーラシアと北海道ないし中国東部との関連性が見られた。 こうした生物圏の気候変動への適応は、1.3万年前の後氷期の温暖化以降に獲得されたものと考えられる。 4 今後の研究の展望 後氷期以降の温暖化過程で、タイガ地域の森林火災が及ぼす影響評価について、総合的な調査が必要であろう。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Masami FUKUDA: "Ground ice occurrence in eastern Siberian Permafrost near Kolymar River Rigions" Proceedings of 4th Joint Siberian Permafrost Study between Japan and Russia. 2-10 (1997)
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[Publications] Tomohide YASUNAGA: "Review of the genus Lygocoris Reuter (insecta Heteropteria) of Siberia (Yakutia,Russia" Proceedings of 4th Joint Siberian Permafrost Study between Japan and Russia. 20-28 (1997)
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[Publications] Tomohide YASUNAGA: "New records of the Psocoptera from Yakutia,Russia" Bulletin of Biogeographical Society,Japan. 50. 19-22 (1996)
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[Publications] Hideaki WATABE: "A Preliminary report on the drosophilid fauna of Sakha SSR,the East Siberia" Drosophila Information Service. 75. 145-147 (1995)
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[Publications] Hideaki WATABE: "A karyotype study of seven species of the Drosophila quiaria sector from Eastern Siberia and the Far East" Journal Hokkaido University of Education. 47. 25-29 (1997)
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[Publications] Masanori TODA: "A revision of the Drosophiliade (Dipta) in East Siberia and Russian Far East" Zoological Science. 13. 455-477 (1996)
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[Publications] Shiro TSUYUZAKI: "Vegetation structure in gullies developted by the melting of ice wedges along Kolymar River" Polar Biology. 21. 87-94 (1997)
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[Publications] Kunihide TAKahashi: "Comparison of the photosynthetic capacity of Siberian and Japanese birch grown under eleveted CO2" Three Phyiology. 16. 381-385 (1996)
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[Publications] 福田正己: "極北シベリア" 岩波書店, 194 (1996)
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[Publications] 福田正己: "シベリアとアラスカの自然 モンゴロイドの地球 第5巻第2章" 東京大学出版会, 202 (1995)