Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ピナルディ H. インドネシア大学, 医学部, 教授
羅 進宗 国立陽明大学, 医学部, 助教授
ティウ W.U. フィリピン大学, 医学部, 助教授
バラポルン K. ラムカムヘン大学. 理学部, 助教授
ウパタム S. マヒドール大学, 理学部, 教授
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
杉山 広 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 研究官 (00145822)
田口 尚弘 高知医科大学, 医学部, 助手 (80127943)
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10128308)
斉藤 康秀 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10063976)
川中 正憲 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 室長 (50109964)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
平田 瑞城 久留米大学, 医学部, 助教授 (70080629)
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Research Abstract |
まず,タイ北部のチェンマイ近郊で採集した住血吸虫Schistosoma sinensiumの染色体のC-バンドを解析したところ,第1,ZおよびW染色体はS.japonicumと類似するがその腕内介在C-バンドは異なる位置に存在すること,またS.sinensium第2染色体短腕の構造はS.mansoniと同じであるが,長腕はS.mansoniの有する介在C-バンドを欠くことが分かった.しかし,全体的な核型,及び第1,Z,W染色体の形態はS.japonicumグループと,また第2染色体の形態はS.mansoniグループと,それぞれかなり類似しており,S.mansoniとS.japonicumの両形質を共有することが明らかとなった.次に,タイ,フィリピン,台湾,本国で採集した住血吸虫中間宿主貝の核型分析を行なった.染色体の作成には貝の生殖腺を用い、平井ら(1989年)の方法に従って標本作製を行なった.まず,タイ産のNeotricula aperta α, β, γは雄が2n=33,雌が2n=34で性染色体がXOタイプであること,αとβ, γではX染色体の形態が異なっていること,またTricula bollingiでは雌雄共に2n=32であり,性染色体未分化型であることが分かった。一方,マレーシア産のRobertsiella gismanniとRobertsiella sp.は雌雄共に2n=34で,性染色体は小さな点状のY染色体を有するXY型であった.また中国産,台湾産,日本産およびフィリピン産のOncomelaniaはすべて雌雄共に2n=34であり,亜種間の染色体の形態には違いは認められず,性染色体の同定も困難であったが,17対の相同染色体のうち1対が異なる大きさであることから性染色体がXY型の分化型であると思われた.このように,アジアに分布する住血吸虫中間宿主の貝は核型に明らかな違いが見られ,貝類の分化と性染色体分化には密接な関係があると考えられた.今のところ,Tricula bollingiが最も原始的なタイプと考えているが,今後,FISH法を使ったバンディングを試みて,種分化の機構を詳細に調べていく予定である.
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