1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041120
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
吾妻 健 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (40117031)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブレーラー ディビド ジェームズクック大学, 理学部, 助教授
邱 東川 四川省寄生虫病研究所, 寄生虫部, 部長
ライ カレン マレーシア医学研究所, 寄生虫部, 部長
キティクーン ビロージ マヒドール大学, 熱帯医学部, 教授
ピナルディ ハジジャジャ インドネシア大学, 医学部, 教授
ウパタム スチャート マヒドール大学, 理学部, 教授
橋本 和子 高知医科大学, 医学部, 助教授 (70263978)
岡本 宗裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70177096)
杉山 広 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 主任研究官 (00145822)
田口 尚弘 高知医科大学, 医学部, 助手 (80127943)
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10128308)
平田 瑞城 久留米大学, 医学部, 助教授 (70080629)
斉藤 康秀 麻布大学, 獣医学部, 助教授 (10063976)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
川中 正憲 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 室長 (50109964)
|
Keywords | 日本住血吸虫 / メコン住血吸虫 / マレー住血吸虫 / COI / ITS2 / PCR / 種分化 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
シネンシウム住血吸虫は虫卵の形態や子宮における虫卵の数などにおいてマンソン住血吸虫に似ているが他の点では日本住血吸虫に類似するなど極めて興味深い住血吸虫である。本年度は、タイ、チェンマイのファン地区と中国、四川省の丹稜地区で採集したシネンシウム住血吸虫のCOIの塩基配列を比較した。増幅した400ベースぺアのうち、41ベースペア(約10%)のサイトで塩基置換が起こっていた。このちがいは、近縁別種間の相違に相当する。一方、日本住血吸虫、マレー住血吸虫、メコン住血吸虫の3種と比較すると、それぞれにたいして約20%の塩基置換を起こしており、系統的にかなり離れていることが分かった。しかしながら、既に発表されているアフリカ産の住血吸虫と比較するとアジア産の方にやや近縁のように思われた。この点を明らかにするために、コンピューター分析を試み、次のような結果を得た。まず、マレー住血吸虫とメコン住血吸虫は、はじめにクラスターを作る。マレー住血吸虫とメコン住血吸虫のクラスターは、つぎに日本住血吸虫と結びつく。シネンシウム住血吸虫はメコン住血吸虫、マレー住血吸虫、日本住血吸虫のクラスターと結合する。アフリカ産のマンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫は互いに結び付き、アジア産の住血吸虫と離れたクラスターを形成する。これらの事実からシネンシウム住血吸虫は日本住血吸虫の起源の祖先種と深い関係があると考えられる。インコグニツム住血吸虫はインドネシアからマレーシア、タイなど東南アジアに分布する鼠類(Rattus属)寄生の住血吸虫であるが、中間宿主貝がLymnea属である点極めてユニークである。今回、インドネシアのジャカルタで採集したインコグニツム住血吸虫のCOIとリボソームRNA遺伝子のITS2領域の増幅に成功した。その塩基配列をアジア産住血吸虫と比較し、UPGMA法と近隣結合法(NJ法)の2法にもとずきコンピューター解析したところ、2つの領域とも、アジア産の、どの住血吸虫からも離れており、むしろアフリカ産のクラスターの中に入ることが明らかになった。この事実は、インコグニツム住血吸虫の起源はアフリカ大陸であり、ごく最近になって、なんらかの方法でアフリカ大陸からアジア大陸に分布を広めたことを暗示している。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Hirata et al.: "Invivo and Invitro cellular response to Schistosoma japonicum eggs" Parasite Immunology. 18. 431-438 (1996)
-
[Publications] Taguchi et al.: "Comparative chromosomal studies of Neotricula aperta,the snail host of Schistosoma mekougi" Journal for Medical and Applied Malacology. (in press). (1997)
-
[Publications] David Blair et al.: "Relationships between Schistosoma malayeusis and other Asian schistosomes deduced from DNA sequences" Molecular and Biochemical Parasitology. (in press). (1997)
-
[Publications] David Blair,Takeshi Agatsuma: "Paragonimus Review Advances in Parasitology" Academic Press (in press), (1997)