1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041128
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雅啓 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20093221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEDY Darnaed インドネシア国立生物学研究開発センター, 主任研究員
AZIZ Bidin. 国立マレーシア大学, 理学部, 助教授
岡田 博 大阪大学, 理学部, 講師 (40089892)
瀬戸口 浩彰 東京都立大学学, 理学部, 助手 (70206647)
今市 涼子 玉川大学, 農学部, 教授 (60112752)
塚谷 裕一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (90260512)
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Keywords | 熱帯植物 / 異時性 / 進化 / 分子系統 / 形態 / 遺伝 / Monophyllaea / マトニア科 |
Research Abstract |
1.マレー半島とサラワタ(マレーシア)とスラウェシ(インドネシア)各地において異時性進化を起こしたと推定される植物の調査、採集を行った。加えて一般的な植物採集も行った。 2.Monophyllaea(双子葉類、イワタバコ科)は東南アジアに32種が分布し、ほとんどの種は石灰岩植物である。この属は生活史で2枚の子葉しかつけず、本葉を一切つけない。普通葉もつける一般的な形態から、子葉のみをつけるまでに形態形成あるいは生活史を短縮するという異時性によって、この属の形態が進化したと推定されている。我々は15種を採集した。そのうち、M.glabraは乾期がある地域に適応した1年草で、生活史をさらに短縮したとみなされる。そのほか、花序は子葉の基部にできるのが普通であるが、M.singularisでは子葉柄上にでき、花序形成が相対的に早期化していると思われる。これらの収集材料を用いて、分子系統解析によって種間の系統関係を推定しつつある。子葉の片方が普通葉のように成長する遺伝的基礎を把握するために、遺伝学的な研究を始めている。この属の植物体の形態をより理解するために、形態形成を観察している。 3.マトニア科のPhanerosorusは石灰岩植物で葉は岸壁から垂れ下がる。この属は、掌状葉のマトニア属からネオテニ-で進化したと考えられる。そこで、マトニア属の幼植物を比較したところ、推定が裏付けられつつある。分子系統解析によって、マトニア科全種(4種)の系統関係を推定し、異時性がどのような系統的過程によって起こったかを考察する。
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