1996 Fiscal Year Annual Research Report
中国砂漠地帯における文化財の保存対策に関する共同研究
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07044016
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 長二郎 東京国立文化財研究所, 国際文化財保存修復協力センター, センター長 (60261252)
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Keywords | 中国 / 砂漠地帯 / 文化財保存 / 敦煌莫高窟 / 壁画保存 / 修復材料 |
Research Abstract |
昨年度選定した実験フィールドである敦煌莫高窟第194窟、53窟、258窟において下記の調査研究を行った。また、過去に保存修復が施された箇所の追跡調査と、関係資料の収集を行った。 ・石窟の岩体及び泥下地部分を強化し保存するための、最適な材料の選択とその材料の含浸方法についての、実験室的並びに現地応用実験 ・壁画及び彩塑像の彩色層剥落を防止するために、剥離部分を接着するための、最適な材料の選択とその材料の施工方法についての、実験室的並びに現地応用実験 これらの調査研究の結果、本年度得られた知見は下記の通りである。 ・岩体の含浸強化材料としては、浸透性のシリコーン樹脂が応用できるが、岩体にクラックが存在する場合には、これだけでは不十分であり、クラック内にエポキシ樹脂と注入して岩体を一体化させる処置が必要となる。実際、かなりのクラックが存在しており、岩体強化は簡単ではない。 ・泥下地部分の含浸強化用材料としては、水蒸気の透過性を有していることが重要な要素であり、この点について実験室的に特に詳細な研究を行い、いくつかの適当な材料に絞り込むことができた。しかし、現地実験が不十分で、結論を得るまでには未だ多くの実験が必要である。 ・彩色層剥離部の接着用樹脂としては、乾燥した彩色層対して適度な浸透性と粘性を有していること、硬化後は気体(水蒸気)の透過を阻害しないタイプのものが適当であると判断し、該当する樹脂をいくつか現地テスト中である。結論を得るまでには現地実験を続け、状態を観察する必要がある。
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