1996 Fiscal Year Annual Research Report
中国辺境地区における農業総合開発方策に関する日中共同調査研究
Project/Area Number |
07044023
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汪 三貴 中国農業科学院, 農業経済研究所, 助理研究員
陳 凡 中国農業科学院, 農業経済研究所・副所長, 研究員
丁 沢霽 中国農業科学院, 農村発展研究所, 高級研究員
朱 希剛 中国社会科学院, 農業経済研究所・所長, 研究員
志賀 永一 北海道大学, 農学部, 助教授 (50235511)
大久保 正彦 北海道大学, 農学部, 教授 (40001458)
宮島 昭二郎 九州国際大学, 経済学部, 教授 (00190786)
七戸 長生 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (30001803)
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Keywords | 辺境地域 / 貧困 / 日中共同研究 / 少数民族 / 貴州省 / 総合開発方策 / 雲南省 / 新彊ウイグル自治区 |
Research Abstract |
平成8年度(2年目)は予定どおり、初年目に引き続き貴州省普定県白石郷および織金郷において継続調査を行い、また新彊ウイグル自治区では屯田地帯である石河子市、博楽市小営盤鎮において実態調査を実施した。主たる知見は以下の通りである。 1.中国国土がもつ多様な自然条件が、貴州省内に限ってみても、交通網の未整備をもたらし、それが物的流通のみでなく、各種の情報、教育の機会、あるいは医療サービスの相対的低位性をもたらしているといえる。農業についてみると、生産力発現にとってもそれら物的流通、情報、教育における低位性が支障となっているといえる。 2.このような状況下で農業経営では、家畜飼養による有機農業を行い自助努力を重ねており、自己資金の範囲ではあるが基盤整備も行っていた。しかし零細分散錯圃であり、何らかの土地改革がない限り効率性は望めないといえる。 この点で、新彊ウイグル自治区石河子市の農業師団(屯田)では、かつての人民公社制のまま集団的農業展開を行い生産力を発揮させていた。生産個別請負制は、農民のやる気を助長した画期的な制度であり、多くの農民はかつての集団農業には戻りたくないと考えているにも拘らず、農業生産力発揮においては経営耕地が小さすぎて非効率という矛盾に陥っている。かつての集団制とは性格を異にし、農家の理解をえられるような集団的農業展開が模索されるべきである。 3.このような現状から、一般的に農家においては出稼ぎに積極的対応がとられ、農業生産の新・革新技術の導入には消極的対応がみられた。農家の現金収入について充分な配慮をしながら、農業改良技術の普及をいかに取り組んでいくか、極めて困難な課題があるといえる。 4.国が食糧農産物を農家の庭先から買い入れることによって国内の食糧確保、流通、価格安定化に寄与する一方、農家の食糧生産に対する意欲を惹起させるためにも価格、資材供給などにおいてなんらかの措置を必要としている。現状では政府に供出せず重たい農産物をかなり遠くの市場まで運ぶという現象がみられる。
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