1996 Fiscal Year Annual Research Report
銃等の凶器の所持にかかわる犯罪被害、及び被害者援助についての日米比較調査研究
Project/Area Number |
07044030
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUSSICH J.P. 常盤大学, 人間科学部, 教授
FRIDAY P.C. ノースカロライナ大学, 刑事司法部, 教授
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40282769)
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
|
Keywords | 犯罪 / 暴力 / 被害者 / 被害化 / 銃器規制 / 警察官 / 日米比較 / 文化 |
Research Abstract |
一般人を被害者とする銃等を所持した犯罪が近年増加している。以下の目的をもって米国ノースカロライナ大学犯罪司法学部フライデイ主任教授らとの共同研究を企画し、実施し、現在調査結果を整理、分析中である. 調査の目的は、日本両国における暴力犯罪、とくに銃等の凶器を使用した暴力犯罪における被害化の諸相(発生頻度、認知、行動)および、防衛手段としての銃等凶器の使用の諸相等について検証し、双方の文化的特色を生かした銃等凶器の使用に関する対応策を見いだし、被害者援助活動を支援することにある。 1995年9月に、11の仮説をもとに51項目の質問票を作成して、ノースカロライナの州都シャーロットと、水戸市の市民を対象とするプリテストを行い、その結果を踏まえて1996年2月から4月にかけて、日米双方で本調査を行った。調査対象は無作為抽出による、水戸2000名、東京1000名、シャーロット2000名の成人で、有効回答数は日本で898、米国で429であった。 1996年7月にと1997年2月に日米両国において、データの解釈、仮説の検証を行い、今後さらに解析を進め、報告書の作成に入る。 データの解析については、現在まだ途中であるが、次のような興味深い所見が認められる。 1.日本では、犯罪被害増加に「恐れ」の感情を抱くものが米国以上に多く、その恐怖感の強い人の間では、防衛のための武器所持を肯定する傾向が強い。 2.個人、あるいは警察官の武器使用の肯定に関する判断の基準は、日米両国民の間で大きな違いがある。 3.米国市民は、暴力被害にあった場合、無視するか、武器を用いての反撃をするかの両極端に反応が分かれるのに対し、日本ではその中間の多様な反応が認められる。 これらの所見は、日米両国における犯罪防止、銃器規制等の政策のあり方に貴重な示唆を与えるものである。
|