1997 Fiscal Year Annual Research Report
銃等の凶器の所持にかかわる犯罪被害、及び、被害者援助についての日米比較研究
Project/Area Number |
07044030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山上 皓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60107315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DUSSICH J.P. 常磐大学, 国際学部, 教授 (00285743)
FRIDAY P.C ノースカロライナ大学, 刑事司法部, 教授
朴 光則 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90282772)
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (40282769)
小西 聖子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30251557)
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Keywords | 日米比較 / 暴力 / 犯罪 / 被害 / 攻撃 / 銃器 / 比較文化 |
Research Abstract |
日米両国における暴力犯罪、とくに銃等凶器を用いたそれの被害化の諸相(発生頻度、認知、行動)および、防衛手段としての暴力、凶器等の使用の諸相を明らかにする目的で調査を行い、以下の結果を得た。なお、質問票にはいくつか仮想場面が提示され、日米両国民の反応の違いを見た。調査は、1996年2月に日米両国の成人市民(無作為抽出)5000人を対象に行われた。 1)暴力被害の体験と認知、感状 (1)暴力犯罪の被害にあったと報告する者の占める比率は、米国で日本の約2倍である。 (2)「暴力被害」として報告されるものは、米国では強盗、強姦等重大な被害の報告が多いが、日本では、比較的軽度の暴力、学校時代の生徒間での体験などが多く含まれていた。 (3)現実に被害に遭う恐れは米国で高いが、凶悪犯罪増加の印象や、犯罪への恐怖は日本で高い。 2)暴力被害に遭った場合の反応に見られる特徴 A アメリカ人に特徴的な反応傾向 (1)攻撃的な反応は、危険度が少ない時点では抑圧され、危険度が高まった時点で時点で出現、銃器使用を容認する(反応の二極分化の傾向)。攻撃反応誘発因子として、身体的接触、財産への侵害、家への浸入などがとくに重要である。 (2)攻撃的反応傾向には人種差(白人で高く黒人で低い)、年齢差(若年者で低い)が見られる。 B 日本人に特徴的な傾向 (1)攻撃的な反応は、危険度が低い状況でも口での反撃など多様な形で表現させる。但し、武器使用には抑制が強い。攻撃的反応傾向に年齢差が見られ、若年層で上昇する。 3)武器、銃器の使用について (1)米国では、銃器所持を容認し、自衛のための武器を所持する者も多い。警察官の銃器使用についれも、状況の危険度を応じて躊躇うことなく容認する。 (2)日本では武器を所持する者は少なく、危険な場合でも武器使用肯定を躊躇する傾向が強い。本調査は、日米間の認識と行動の違いを比較文化的に考察したもので、国民相互の理解を深めるのに貢献するとともに、今後の犯罪予防、銃器対策等の検討にも役立つものと期待される。
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[Publications] Friday P. C. , Yamagami, et al: "The Threshold of Violence : A Comparative Study-USA / Japan" 国際連合, (1998)
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[Publications] Dussich, J. P, Yamagami, et al: "Influences on Fear of Crime Victimization in America and Japan : A Comparative Analysis" The Criminal Justice Press, (1988)