1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07044031
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
中野 敏男 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (10198161)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 琢 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (20251564)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
伊豫谷 登士翁 一橋大学, 社会学部, 教授 (70126267)
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
山之内 靖 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (60014429)
|
Keywords | 戦時動員 / 構造変動 / 総力戦 / 国民国家 / 戦後社会 / 歴史叙述 / 比較分析 |
Research Abstract |
本年度の活動は、三年間の研究プロジェクトのまとめの年として、研究全体の集約をめざして進められた。具体的には、(1)7月19日の東京外国語大学における「戦時動員と構造変動」に関する日本-ドイツ研究集会、(2)9月と11月に実施したアメリカとドイツへのメンバーの派遣、(3)3月におけるドイツからの招聘、という三つの事業を中心に、これまでの研究成果の確認と整理のための集中的な意見交換が主な活動となった。 7月19日の東京外国語大学における研究集会では、「歴史叙述の現在と表象のポリティクス」と題して、日独の研究成果を突き合わせ吟味した。シルトとシュム-ルは、それぞれ「戦後ドイツの公論におけるナチという過去」と「歴史家論争再訪」という報告を行ない、ドイツにおける戦時動員と戦後におけるそれの論じられ方について議論を深めた。これに対して小澤・岩崎などが討論に立ち、このドイツの問題が「歴史表象」の在り方において日本の戦後とも大きく重なっていることを指摘して、問題の普遍性があらためて確認された。 9月と11月のメンバーの派遣は、ハーバード大学・コロンビア大学・カリフォルニア大学(サンディエゴ)・ライプチヒ大学・ウェストファーレン地域研究所などとの情報交換と討議が目的であった。この討議によって、「戦時動員と構造変動」という研究対象が、これまでのような一国単位の研究の並列と比較という枠組みには収まらず、国境を越えた構造的な連関という視野からの考察が必要なテーマであることが一層明確となった。 さらに、3月にはドイツからリヒタ-を迎え、日本滞在中のサカイをも交えて、3年間の共同研究の集約的な討議が行なわれている。ここでは、日・独・米の戦後社会におけるマイノリティ問題などの社会問題がそれぞれの戦時体制と深く関連し、その「帝国」としての構成と結びついてきたことが論議の焦点となっている。
|
-
[Publications] 佐藤 卓己: "ファシズムの時代-大衆宣伝とホロコースト" 世界・臨時増刊号. 634. 12-15 (1997)
-
[Publications] 佐藤 卓己: "1930年代日本のナチズム報道" 歴史群像・欧州戦史シリーズ. 1. 56-57 (1997)
-
[Publications] 雨宮 昭彦: "両大戦間期ドイツにおける経済秩序・経済政策思想の革新(4)" 千葉大学経済研究. 12・2. 211-264 (1997)
-
[Publications] 酒井 直樹: "日本人であること" 思想. 882. 5-48 (1997)
-
[Publications] Steffi Richter: "Dreidimensionalitat des Intellektes" Japan-Lesebuch. III. 11-31 (1998)
-
[Publications] 中野 敏男: "戦時動員と戦後啓蒙-大塚=ヴェーバーの30年代からの軌跡-" 思想. 882. 159-204 (1997)
-
[Publications] 山之内 靖: "総力戦・ニューディール・システム社会" 経済学史学年報. 35. 28-43 (1997)
-
[Publications] 伊豫谷 登士翁: "グローバリゼーションと「開発」" 講座 : 開発と文化. 7. (1998)
-
[Publications] 岩崎 稔: "歴史教科書論争と歴史主体論争" 世界. 640. 86-91 (1997)
-
[Publications] 成田 龍一: "帝国主義/植民地主義/ナショナリズム" 世界. 640. 98-102 (1997)
-
[Publications] 篠原 琢: "チェコ19世紀史学の新しい潮流-自己表象の歴史学-" 東欧史研究. 19. (1997)
-
[Publications] 酒井 直樹: "日本思想という問題" 岩波書店, 329 (1997)
-
[Publications] NAOKI SAKAI: "Translation & Subjectivity" MINNESOTA U・P, 231 (1997)
-
[Publications] 山之内 靖: "マックス・ヴェーバー入門" 岩波書店, 246 (1997)
-
[Publications] 姫岡 とし子: "岩波講座・世界歴史17-環大西洋革命" 岩波書店, 307 (1997)