1996 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・アパルトヘイト南アフリカにおける政治・社会・経済変動と持続的開発の展望
Project/Area Number |
07044043
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 誠 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70205962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STONEMAN Col ヨーク大学, 南部アフリカ研究センター, 所長
HINDSON Doug ダーバン, ウェストビル大学・社会経済調査研究所, 所長
CLIFFE Lione リーズ大学, 政治学科, 教授
NIEUWKERK An グローバル, ダイアログ財団・研究部, 部長
LODGE Tom ヴィットヴァーテルスラント大学, 政治学科, 準教授
VALE Peter ウェスタン, ケープ大学・南部アフリカ研究センター, 教授
山崎 圭一 横浜国立大学, 経済学部, 助教授
峯 陽一 中部大学, 国際関係学部, 助教授 (30257589)
佐々木 建 大阪市立大学, 商学部, 教授 (60047058)
北川 勝彦 関西大学, 経済学部, 教授 (50132329)
川端 正久 龍谷大学, 法学部, 教授 (10043374)
|
Keywords | 南アフリカ / ポスト・アパルトヘイト / 持続的開発 / 民主化 / 国民統合 / 復興開発計画 / 安全保障 / 南部アフリカ |
Research Abstract |
本研究は、新政権誕生により、「アパルトヘイト廃止」から「民主化と開発」へと進みはじめた南アフリカ共和国における持続的発展の可能性を展望することを目的としている。本年度の研究活動においては、新政権誕生後3年目に入って一層めまぐるしく変動する南アフリカの政治経済情勢について、現状と今後の課題を明らかにしてきたが、その概要は以下の通りである。 政治過程では、新憲法採択直後に国民党が政権を離脱し、人種融合の国民統一政府から、ANCを支配的政党とする政権が誕生した。こうした体制下において、ANC内部分裂の可能性の問題や、ポスト・マンデラ問題とならんで、民主化プロセスとの関係が、南ア政治の大きな論点となっている。 安全保障問題については、人口増加や大規模移住、疾病、貧困、小火器拡散など、様々な不安定要因のもつトランスナショナルな性格から、これらの問題に取り組む際の地域レベルでの協力がますます重要である。 社会・経済面の開発については、正統性を有する新政権発足以降、海外からの開発援助資金が政府のRDP実施向けに一元化される傾向にあり、アパルトヘイト時代から住民の主体的かつ持続的な社会・経済開発(支援)活動として重要な役割を果たしてきたNGOが財政難に陥っている。今後は、RDPの実施と並んで自律的なNGO活動の持続・拡大のための資金のしかるべき配分、および資金源の多様化が重要である。 最後に、東アジアの経験とその南アへの適用可能性については、東アジアの経験を一つの開発モデルとして捉えその移植の是非を問うのではなく、どのような形でアジアとアフリカのパートナーシップが構築できるかを考えることが需要である。
|
Research Products
(16 results)
-
[Publications] 佐藤 誠: "ポスト アパルトヘイト南アフリカの国民創出と多様性のジレンマ" 立命館言語文化研究. 7巻5/6号. 247-264 (1996)
-
[Publications] 川端正久: "ブルンジ危機の構造" 世界. 7月号. 153-156 (1995)
-
[Publications] 川端正久: "南アフリカ:黒人貧困層に仕事と住宅を供給できるか" エコノミスト. 2月13日号. 130-131 (1995)
-
[Publications] 北川勝彦: "世界恐慌期における日本-南アフリカ通商関係史の一考察" 関西大学経済論集. 42巻6号. 119-148 (1996)
-
[Publications] 北川勝彦: "新生南アフリカにおける黒人企業の動向に関する覚書き" 関西大学経済論集. 46巻4号. (1996)
-
[Publications] 佐々木 建: "多国籍企業は21世紀に生き延びられるか" 歴史評論. 5月号. 49-61 (1995)
-
[Publications] 佐藤 誠(編著): "南アフリカと民主化" 勁草書房, 272 (1996)
-
[Publications] 佐藤 誠(編著): "地域研究調査法を学ぶ人のために" 世界思想社, 256 (1996)
-
[Publications] (瀬川博義,須賀周平 編)北川勝彦(共著): "現代国際関係の構造「アフリカの政治と経済」" 啓文社, 236(担当217〜236) (1995)
-
[Publications] (岡倉 登志 編)北川勝彦(共著): "アフリカ史を学ぶ人のために「世界経済とアフリカ」" 世界思想社, 296(担当42〜68) (1996)
-
[Publications] 北川勝彦(単著): "日本-南アフリカ通商関係史" 国際日本文化研究センター, 未定 (1997)
-
[Publications] (本山 美彦 編)峯 陽一(共著): "開発論のフロンティア「開発におけるNGOの役割」" 同文館, 276(担当227〜252) (1995)
-
[Publications] 山崎圭一(共著)(佐々木 佳代・高月 絋・仲上 健一 編): "環境と貿易 現代環境論" 有斐閣, 294(207〜225) (1996)
-
[Publications] 山崎圭一(共著)(田代洋一、荻原伸次郎、金澤史男 編): "途上国の経済政策 現代の経済政策" 有斐閣, 342(275〜294) (1996)
-
[Publications] 山崎圭一(共著)(小島麗逸・幡谷則子 編): "「ブラジルの住宅・都市建設と金融制度」途上国の都市建設と社会資本建設" アジア経済研究所, 294(担当243〜272) (1996)
-
[Publications] 峯 陽一(単著): "南アフリカ-「虹の国」への歩み" 岩波書店, 245 (1996)