1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07044076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀川 直顕 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (70022697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NIINIKOSKI T ヨーロッパ原子核研究所, 研究員
SAVIN Igol JINR(DUBNA)研究所, 教授
IGO George カリフォルニア大学, 物理学科, 教授
HUGHES Verno エール大学, 物理学科, 教授
斉藤 栄 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022694)
石元 茂 高エネルギー物理学研究所, 助手 (50141974)
松田 達郎 宮崎大学, 工学部, 助手 (20253817)
長谷川 武夫 宮崎大学, 工学部, 教授 (70025386)
森 邦和 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70022663)
景谷 恒雄 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (40273297)
岩田 高広 名古屋大学, 理学部, 助手 (70211761)
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Keywords | SMC / スピン / クォークスピン / 核子スピン / 偏局標的 / QCD / Bjorken和則 / Ellis-Jaffe和則 |
Research Abstract |
本年度の主要な研究課題は、CERNにおけるSMC(Spin Muon Collaboration)による陽子のスピン依存構造関数の測定であった。実験の目的は、偏極陽子標的についてBjorkenのxでx【less than or equal】0.007の領域を精度を上げて測り、1993年度の実験で見られた傾向(g^p_1(x,Q^2)がxの減少とともに増加するように見える)を確かめることに置いた。そこでのg^p_1(x,Q^2)の振舞がxについての積分(Γ^p_1)に大きく影響を与え、クォークのスピン寄与の算定が変るためである。 本年の実験装置の特徴は陽子標的に固化NH_3を使った点である。これにより、偏極度は平均90%を、また陽子含有率がブタノールより高いことから、収集事象数でブタノールに比して2-3割の増加を見た。実験は4月20日に始まり、9月17日をもって終了した。本年度の実験終了でSMCが予定した全ての実験計画は終了し、これまでの重陽子および陽子標的による実験から、核子内のクォークのスピン寄与についてほぼ最終的結論が得られ、QCDに基づく理論手法の是非もBjorken和則のテストから判定できる見通しである。 本年度の測定結果は現在解析中であるが、測定傾域はx=5×10^<-3>まで測り、1993年の測定した傾向を確かめることが可能となった。両年のデータを加算することにより、統計精度が上がり信頼度が増す。 日本のグループは、偏極標的に関しては、アンモニア試料を使った偏極標的の立ち上げおよび実験中の運転には多くのスタッフおよび協力研究員が参加して成功裏に実験を進め、測定終了後の偏極度解析は大学院生(宮地)が中心となって行っている。また、散乱データのオフライン解析では、小川、宮地の二人の大学院生がSMCの解析グループの中心となって励んでいる。 10月には偏極標的と偏極実験に関する打ち合せに岩田がロシアのJINR(DUBNA)に出張した。 陽子のスピン依存構造関数g^p_1(x,Q^2)の値は3月にはプレリミナリーな結果を国際会議で発表し、1997年秋までには論文発表の予定である。小川は本年度理学博士の資格を得た。
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