1996 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア諸国における微生物の動態と多様性に関する調査研究
Project/Area Number |
07044149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 敏臣 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (00029290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TITIK Prana インドネシア科学研究所バイオテクノロジーセンター, 研究員
SIM Tiow Sua シンガポール大学, 医学部, 上級講師
CHUENCHIT Bo マヒドン大学, 理学部, 準教授
SOMBOON Tana チュラロンコン大学, 薬学部, 準教授
VILLAPA Arun タイ科学技術研究所, 研究員
POONSOOK Att タイ科学技術研究所, 副所長
金子 嘉信 大阪大学, 工学部, 助教授 (90161182)
関 達治 大阪大学, 生物工学国際交流センター, 教授 (50029245)
杉山 純多 東京大学, 分子細胞生物研究所, 教授 (80142256)
駒形 和夫 東京農業大学, 農学部, 教授 (70013331)
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Keywords | 微生物資源 / 東南アジア / カビ / 酵母 / 放線菌 / 窒素固定菌 / 系統分類 / β-ラクタム |
Research Abstract |
杉山・横田らは、タイ国熱帯雨林にて土壌試料のサンプリングを行い、細菌の分離を試みた。その結果、放線菌を含むグラム陽性菌を中心に計64株を分離し、タイ国研究者と東京大学にて分類学的検討を行っている。また、タイ国研究者が東京大学において、タイ国で分離された細菌、放線菌分離株4株について形態・化学分類および系統分類に関する分類学的研究を行い、それぞれ既知属のComamonas属、Bacillus属、Streptomyces属の菌種と同定した。残りの株は新種の菌種と推定され、分類学的位置についてはさらに検討中である。 金子らは、タイ国の果実や発酵食品などから分離したSaccharomyces sensu strictoと期待される50株の電気泳動型を調べた。その結果、すべての株がSaccharomyces sensu strictoと同定できる核型を示し、そのうちS.bayanusと同定される株はなく、ほとんどがS.cerevisiaeと考えられた。さらに、19株を選び、S.cereviaiaeとの交雑試験およびDNA類似度試験を行った。その結果、16株は確実にS.cerevisiaeと同定でき、2株はS.patorianusの可能性、1株は新種の可能性が示唆された。 駒形らは、タイ国の発酵食品より分離した乳酸菌について生理学的・分子生物学的手法を用いて同定を行い、Lactobacillus属などに属することを明らかにしたが、その中には従来の種には属さない新種があることを示唆した。これらについて平成9年に詳細を検討する。 吉田・関らは、放線菌のβ-ラクタム抗生物質生産遺伝子の一つであるイソペニシリンNシンターゼ遺伝子の系統進化をDNAレベルで検討し、16Sリボゾーム遺伝子の分子系統を比較した。その結果、イソペニシリンNシンターゼ遺伝子は放線菌の各種株を移動し、分子進化を行ったものと推察された。 関らはインドネシアもネムの樹木より分離された窒素固定菌の分子系統を明らかにするため、16SリボゾームRNA遺伝子の塩基配列を決定し、分離窒素固定菌がRhizobium属およびBradyrhizobium属など広く分布することを示した。
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