1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07238105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊澤 峰夫 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 雅夫 名古屋大学, 理学部, 助手 (90262849)
川上 紳一 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (80183036)
大江 昌嗣 国立天文台, 水沢観測センター, 教授 (00088783)
丸山 茂徳 東京工業大学, 理学部, 教授 (50111737)
瀬野 徹三 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10216567)
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Keywords | 地球史 / 地球システム / 地球環境 / 生命と地球の共進化 / 縞縞学 |
Research Abstract |
本研究の目的は重点領域研究「全地球史解読」における各実行班の連携をはかり、さらに新しい研究対象を見出してその研究戦略を検討することである。 本年度は研究立ち上げの年であるにもかかわらず、各班においてすでに目にみえる成果があがりはじめた。その一部を以下に挙げる。1)西オーストラリア・ピルバラクラトンの地質調査および試料採集を行って、ノースポール地域の精密な地質図を完成させ、これが太古代の付加体であることを明らかにした。また、当時の海嶺の構造とその堆積物を明確に確認した。2)ピルバラクラトンの縞状鉄鉱石について古地磁気学的研究を行い、33億年前にも地磁気逆転があったことを明らかにした。3)大量の堆積岩試料を効率よく分析・記載するテクノロジーの開発を行い、数十メートルの長さの連続試料を1mm以下の空間分解能で元素マッピングしてデータベースを作ることが可能となった。4)U-Pb年代を世界最高の精度と効率で決定するレーザーアブレーション・ICP-MASSの開発をすすめ、当初の期待に添う装置の開発に成功した。 総括班においては、これらの各班の連携をはかりつつ、さらに地球・惑星科学における新しい研究分野の開拓をめざして、「生命と地球の共進化」というテーマの可能性を追求した。そこで生命科学の研究者との交流をはかるため「バイオマット研究会」を開催した。この研究会によってわれわれは、バクテリアの共生系が、地球環境および生命の進化に重要な役割を果たしていることを認識した。さらにこのような共生系が身近な温泉や鉱山に普通にみられ、分子生物学的に解析できることを知った。即ち、すでに採集してあった全地球史解読の物証である岩石試料(縞状鉄鋼床やチャート、ストロマトライト)の多くが、かつて海洋水温がまだ高かった太古代のバイオマットの化石と同定できることがわかったので、これらの地球科学的研究と現生温泉バイオマットの生命科学的研究とが連携して、地球と生命の共進化解明という新しい研究パラダイムを開く具体的な方法を明らかにするに至った。
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Research Products
(1 results)