1996 Fiscal Year Annual Research Report
固体内高速イオン移動現象を利用した新規応用分野の開拓
Project/Area Number |
07239104
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山本 治 三重大学, 工学部, 教授 (70023116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 則雄 九州大学, 大学院・総合理工, 助教授 (70128099)
水崎 純一郎 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90092345)
岩原 弘育 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (80023125)
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Keywords | 高温固体燃料電池 / ジルコニア系酸化物 / プロトン導電体 / 水素分圧制御 / 水素ポンプ / セリア系電解質 / 化学センシング素子 / 周波数分散計測 |
Research Abstract |
固体内高速イオン移動現象は他の固体には見られない特異な現象で、その利用は古くから提唱されてきたが、実用化には解決すべき基礎的問題が多く、また工学的研究もあまりなされていない。本研究では、新たな応用分野として、高効率エネルギー変換、物質分離・変換、高温化学リアクター、高機能化学センシングなど、エネルギー問題、環境問題と、より後半活社会的に影響大なる分野への展開を図ろうとするものである。今年度の具体的成果を以下に述べる。 1.固体内高速酸化物イオン移動現象を利用した高効率・高出力燃料電池の開発(山本):今年度は新規高速イオン移動性酸化物として、800℃でも0.1Scmの導電性を示すジルコニア系酸化物としてSc_2O_3-ZrO_2系に注目し高温固体燃料電池(SOFC)への適応について検討した。11〜12mole%Sc_2O_3をドープしたジルコニアは高い導電率(0.09Scm at 800℃)を示したが、低温での菱面体層への相転移が問題であった。アルミナを数%添加することで立方晶が低温まで安定化された。しかも数千時間の導電率の経時変化(1000℃)をとると、8〜9%ドープのScSZやYSZと異なり、全くの導電率の低下を示さなかった。 2.固体内高速イオン移動現象を利用した物質分離・変換(岩原):高温・水素源のある雰囲気でプロトン導電性を示すペロブスカイト型酸化物(SrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-Z>)の電気化学的水素透過機能を利用した、水素ポンプによる水素分圧制御、及び水素ポンプの構築を試みた。その結果、電気化学的にスムーズな水素分圧の制御が可能出会った。700℃から900℃で水蒸気ポンプを行った結果、温度が低いほど水蒸気発生量が多くなり、700℃では約50%程度の水蒸気の輸送が確認された。 3.固体内高速イオン電子混合導電体の緩和機構計測とその応用(水崎):今年度はSOFC用電極として(LaSr)CoO_3系を取り上げ、セリア系電解質と組み合わせたとき、電極の高速イオン導電性が電極機能にどのような効果をもたらすかを、電極内酸素拡散効果が的確にとらえられる緻密電極を用いて、電極インピーダンスの周波数分散計測を軸に解明した。 4.固体内高速イオン移動現象を利用した新規化学センシング素子の開発(三浦):環境汚染ガスのNOxを被検ガスとして取り上げ、高性能小型センサの開発を行った。ベースには安定化ジルコニアやNASICONNを用い、これらと組み合わせる検知極補助相材料として種々の酸化物や無機塩を用いた。試作したデバイスについて基本的センシング特性を測定、最適な組み合わせを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Arachi: "The Electrical Conductivity of the ZrO_2-Sc_2O_3-Y_2O_3 and ZrO_2-Sc_2O_3-Yb_2O_3 Systems" Dennki Kagaku,. 64. 638-641 (1996)
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[Publications] O.Yamamoto: "Oxide Ion Conductivity in the ZrO_2-Sc_2O_3 System" Solid State Ionics:New Developments,ed.B.V.R.Chowdari et al,World Scientific Publishing Co.221-233 (1996)
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[Publications] H.Iwahara: "An Electrochemical Steam Pump using a Proton Conducting Ceramic" J.Appl.Electrochem.26. 829-832 (1996)
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[Publications] H.Iwahara: "Proton Conducting Ceramics and Their Application" Solid State Ionics. 86. 9-15 (1996)
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[Publications] J.Mizusaki: "A Chemical Diffusion Controlled Electrode Reaction at the Compact La_1-_XSr_XMnO_3/Stabilized Zirconia Interface in Oxygen Atmospheres" J.Electrochem.Soc.143. 3065-3073 (1996)
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[Publications] N.Miura: "Mixed Potential Type NOx Sensor Based on Stabilized Zirconia and Oxide Electrode" J.Electrochem.Soc.143. L33-L35 (1996)