1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07279101
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千坂 修 京都大学, 理学部, 助教授 (80188474)
小川 正晴 高知医科大学, 生理学教室, 助教授 (50111951)
岡戸 信男 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50060140)
川村 光毅 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (40048286)
森 憲作 理化学研究所, フロンティア研究システム, グループディレクター (60008563)
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Keywords | 神経回路形成 / 分子機構 / 中枢神経系 / ラット / コラーゲンゲル培養 |
Research Abstract |
以下のとおり、選択的神経回路形成のメカニズムの解明を進めた。 村上は、後脳の全培養標本を作製し、小脳の軸索の交叉をこの培養系で再現できることを確かめた後、フロアプレートを一度通過した成長円錐がもう一度フロアプレートに反応するかどうかを調べた。その結果、一度床板を通過した成長円錐は床板に対する反応性を失い、真っ直ぐに伸びてゆくことが明らかになった。堀田は、gcm突然変異体の症状の詳細な解析から神経系構築や回路網形成におけるグリアの役割について解析し、またgcm遺伝子産物がDNA結合能を持つ転写調節因子であるということを見出した。川村は、Igスーパーファミリーに属する神経接着分子群が大脳皮質における神経回路形成に関係する可能性を免疫組織化学的に検討した。森は、嗅細胞軸索の標的糸球への選択的投射の分子メカニズムを知る目的で、嗅細胞軸索のサブセットに特異的に発現している細胞接着分子を探索し、特定の嗅上皮受容体発現ゾーン内の嗅細胞でのみ選択的に発現する新規の細胞接着分子(R4B12)、および特定のサブセットの糸球に投射する嗅細胞軸索でのみ選択的に発現するBIG-2分子(TAG-1/F3ファミリーのIgスーパーファミリー細胞接着分子)をみいだした。小川は、生体内で観察される正常・リーラー間のPurkinje細胞配列の違いが再現されるような培養系を開発し、reelin分子の生理作用を検討した。その結果、Purkinje細胞層の形成に、顆粒細胞の膜表面上のreelin分子が直接に関係していることが示された。岡戸は、シナップスの形成維持にαl受容体が大きく関与していることをしめした。千坂は、特定のカドヘリンを欠失したマウスを標的遺伝子組み換え法を用いて作製しその機能を解析した。船越は、Tau及びMAP2Cの特異的局在の形成と維持にもMAP2の場合同様部位特異的な分子の安定化が役立っているかどうかを解析するため、ビオチンで標識した各種微小管関連蛋白を、マウス脊髄初代培養細胞に微量注入し、その後の動態の解析を行った。仲村は、enを視蓋で強制発現させると、網膜からの投射パターンが乱れるが、これにEphチロシンキナーゼのリガンドであるElflやRAGSが関与しているかを検討した。
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[Publications] Murakami,F.: "Morphology of individual axons in crossed corticorubral projections in developing cats and effects of partial denervaton." Dev.Neurosci.18. 162-173 (1996)
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[Publications] Shirasaki,R.: "Guidance of circumferentially growing axons by netrin-dependent and independent floor plate chemotropism in the vertebrate brain." Neuron. 17. 1079-1088 (1996)
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[Publications] Sakakibara,S.: "A neural RNA-binding protein highly enriched on the mammllian CNS stem cell." Develop.Biol.176. 230-242 (1996)
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[Publications] Funakoshi,T.: "Active transport of photoactivated tubulin molecules in growing axons revealed by a new electron microscopic analysis." J.Cell Biol.133. 1347-1353 (1996)
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[Publications] 村上富士夫: "脳における正中交差のメカニズム。" 蛋白質・核酸・酵素. 41. 775-784 (1996)
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[Publications] 村上富士夫: "脳幹での交叉性神経回路の形成機序。" 細胞工学. 15. 162-171 (1996)
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[Publications] Mori,K.: "Integrative and Molecular Approach to Brain Function." Elsevier,Tokyo, (1996)