1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07301008
|
Section | 総合 |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉積 健 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50038973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽生 清 京都芸術短期大学, 教授 (30183560)
上倉 庸敬 大阪大学, 文学部, 教授 (90115824)
神林 恒道 大阪大学, 文学部, 教授 (80089862)
大橋 良介 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30093165)
太田 喬夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30098230)
|
Keywords | 現代芸術 / マス・メディア / 芸術メディア / モダニズム / 首尾一貫性 / ポストモダニズム / 異種混交性 / ヴァーチャル・リアリティ |
Research Abstract |
平成8年度の研究は、前年度と同じく、次の三つの作業枠において実施した。 1.前年度に収集した研究資料を中心に検討し、メディアと芸術の関係の変遷について、現代芸術の作品や現象に即しつつ実証的に考察した。メディアと芸術の関係は、一方でマス・メディア時代における芸術の変貌、他方で芸術メディアそれ自体の技術革新という、二つの側面を有している。この二つの側面から、1910年代から30年代に至る写真入り印刷メディアと映画の時代、1950年代から70年代に至るTV時代、そして80年代から今日に至るまでのマルチ・メディアの時代の、それぞれの芸術動向について考察した。 2.記号美学、情報美学、そして構造主義の美学が、1960年代から70年代に、学術分野におけるディジタル・コンピュータの導入とともに注目されたが、前年度に収集済みの資料をもとに、それらの理論の有効性と限界について、ホスト構造主義以降の美学・芸術学の理論ないし思想を参照することによる解明を試みた。 3.前年度に引き続き、芸術工学的な側面から、情報工学の分野におけるヴァーチャル・リアリティ概念と、現代芸術の文脈におけるそれとの差異ないしは接点について検討した。その結果、両者の概念のはざまには、様々なずれが存在し、その解明が今後の研究課題として浮上した。 4.以上の三つの作業枠からの研究報告を、二回の研究会で検討した。そこでは、1910年代から20年代に至る時期に形成されたモダニズムの造形思想においては、単一的な首尾一貫した緊張関係としての空間概念が設定され、そこでは異質なものの混入は絶対的に拒絶されたこと。そのモダニズムの造形思想も1970年代以降に哀微するが、その以後のホストモダニズムにおける芸術、並びに美学・芸術学の新たな動向と、マス・メディアあるいは芸術メディアとの関係、等が明らかにされた。
|
-
[Publications] 吉積 健: "メディア映像と現代デザイン" 芸術学フォーラム. 8. 200-213 (1996)
-
[Publications] 羽生 清: "現代のパターン" 芸術学フォーラム. 8. 70-81 (1996)
-
[Publications] 渡辺 眞: "デザインの記号論" 芸術学フォーラム. 8. 82-93 (1996)
-
[Publications] 藪 享: "現代デザインとデザイン史" 芸術学フォーラム. 8. 121-132 (1996)