1996 Fiscal Year Annual Research Report
幼稚園と小学校における身近な環境への関わりと総合的な学習の研究
Project/Area Number |
07301034
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鹿毛 雅治 慶応義塾大学, 教育課程センター, 専任講師 (80245620)
馬場 久志 帝京大学, 文学部, 専任講師 (30208714)
奈須 正裕 神奈川大学, 経営学部, 助教授 (40260989)
秋田 喜代美 立教大学, 文学部, 助教授 (00242107)
市川 伸一 東京大学, 教育学研究科, 助教授 (70134335)
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Keywords | 幼稚園 / 小学校 / 幼稚園環境 / 学習環境 / 体験学習 / 総合学習 / 生活科 / 学級文化 |
Research Abstract |
全国各地の幼稚園・小学校を訪問し、その保育および総合的体験的学習(生活科を含む)の時間を観察した。各々のメンバーで分担し、総計で30程の小学校と10程の幼稚園への観察を行った。その中には、1回だけのものと年間に数回さらに毎週ないし隔週の観察が含まれる。その結果、特に、本年度は小学校の生活科・総合学習における授業のあり方を分析した。また、他の教科における総合的体験的な要素をも取り出した。その結果、総合的な授業において、次の要素が重要であることを見出した。1)体験学習の場やその他の学習環境がどれほど豊かなものであるか。2)教師の支援が授業を構造化しつつ、教師の個性を発揮し、同時に、一人一人の子どもの個性を引き出すこと。3)学級の人間関係に授業は支えられる。だが、それは固定したものではなく、授業での活動とともに学級独自の文化を作り出す。4)授業形態や教材には様々なものがあり、特定の形が絶対に優れているとは言えない。むしろ、その方法や材料がいかにして子どもや教師の意欲を掻き立て、同時に、教材の教育的価値を取り出すことに成功したかが問われる。その際の要因は個別的な学級の事情により大いに異なる。以上の結果から、授業の成立条件を取り出すならば、授業における要素を固定化するのではなく、変化し、新たに生成されるものとして見なし、授業で新しく出現するものをうまく取り込み、開放的なあり方を目指すことが必要である。総合学習とはそのような開放的なあり方から子ども自身が問題とその解決方法をつかみ出す過程であると位置付けられる。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] 無藤隆: "幼児同士の遊びの成立過程:砂場遊びの分析" 子どもの社会研究. 2. 3-17 (1996)
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[Publications] 無藤隆: "身体知の獲得としての保育" 保育学研究. 34. 146-151 (1996)
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[Publications] 無藤隆: "幼稚園の運動会における運動することの意味:リレー練習の分析" 乳幼児教育学研究. 5. 25-3 (1996)
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[Publications] 無藤隆: "幼児同士の付き合いの成立過程の微視発生的検討" 人間関係学研究. 3. 15-2 (1996)
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[Publications] 無藤隆: "保育における場所の意味:製作コーナーの分析" お茶の水女子大学人文科学紀要. (印刷中).
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[Publications] 無藤隆: "子どもは授業にいかに参加するか" お茶の水女子大学人間文化研究紀要. (印刷中).
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[Publications] 秋田喜代美: "コンサルテーションによる保育実践の構成:保育研究会の継続的検討" 保育学研究. 33. 210-217 (1966)
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[Publications] 秋田喜代美: "園児を捉える保育者の認知的枠組み:RCRTによる検討" 立教大学心理学科年報. (印刷中).
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[Publications] 秋田喜代美: "教師の成長と危機" 学習評価研究. 22. 40-49 (1995)
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[Publications] 秋田喜代美: "教える経験に伴うイメージの変容:比喩生成課題による検討" 教育心理学研究. 44. 176-186 (1996)
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[Publications] 馬場久志: "新しい学力観を考える" 青少年問題. 42-3. 26-31 (1995)
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[Publications] 馬場久志: "「新しい学力観」の学習者像と指導観" 心理科学. 17-2. 15-24 (1995)
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[Publications] 市川伸一: "学びの理論と学校教育実践" 学習評価研究. 26. 42-51 (1996)
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[Publications] 藤村宣之: "ティームティーチングが児童の算数理解に及ぼす効果" 教育方法学研究. 21. 127-137 (1995)
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[Publications] 鹿毛雅治: "「心理学としての教育心理学」を越えて" 教育心理学年報. 35. 19-20 (1996)
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[Publications] 鹿毛雅治: "教育方法に関する教師の自律性支援の志向性が授業過程と児童の態度に及ぼす影響" 教育心理学研究. (印刷中).
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[Publications] 田代和美: "保育カンファランスの検討:研究者の立場から考える" 保育学研究. 34. 34-42 (1996)
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[Publications] 市川伸一: "情報教育:何をどう教育するのか" 永野和夫編「発信する子どもたちを育てるこれからの情報教育」高稜社出版. 3-13 (1995)
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[Publications] 無藤隆: "協同するからだとことば" 金子書房, 205 (1997)