1996 Fiscal Year Annual Research Report
サンボリスムの芸術と世紀末からベルエポックにかけてのフランス社会
Project/Area Number |
07301054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 総合 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 齊 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50079620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 城 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80127315)
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (00188335)
大浦 康介 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60185197)
富永 茂樹 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (30145213)
阪上 孝 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70047166)
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Keywords | 記号 / 意味 / 象徴 / 象徴主義 / 世紀末 / ミメーシス / 晦渋 / 曖昧 |
Research Abstract |
平成8年度は個々の発表とその検討を通じて、サンボリズムを文学、芸術、社会の側面から多角的に研究した。文学との関わりにおいては、ボードレール、マラルメ、ヴェルレーヌ、ヴァレリー、クローデルなどの抽象派の詩人のみならず、18世紀の作家や、ルナール、フローベル、ゾラといった象徴主義の外にいた作家、さらにはイタリアの作家であるパスコリなども視野に入れ、文学世界全体の中で象徴主義がいかなる位置にあったかが多面的に研究された。また他方で、象徴主義の表現の本質に関わる考察(その晦渋さと受容など)もなされた。芸術との関係においては、絵画、音楽、美学、映画における象徴の思想、あるいはこれらの領域と象徴主義の関わりが研究された。これにより、文学史では一流派にすぎない象徴主義が、当時あるいは後世の芸術の諸分野ときわめて密接な交流をもついることが明らかになった。社会との関わりにおいては、当時の批評家であるフェネオンとアナーキズムの関係を中心として探求がなされ、象徴主義が暗黙のうちにもつ社会的な次元が明らかにされた。これらの考察は、すでに各自の論文のプランとしてまとめられつつあり、その検討も順次行われている。文学、芸術、社会の側面から見た象徴主義像といったものが、討論を通じて、各研究員の中で明確になりつつあり、最終報告の中に反映されるはずである。また、サンボリスム関係の雑誌の復刻版(『ラ・プリューム』誌など)の読み込みも平行してすすめられ、これも最終報告の中に何らかのかたちで反映される予定である。なお、研究会は原則として各週に開催され、平成8年度は計17回の口頭発表と討議が重ねられた。
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[Publications] 宇佐美齊: "「よみ」の理論と読者論" 大浦康介編『文学をいかに語るか』(新曜社). 167-184 (1996)
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[Publications] 宇佐美齊: "曖昧と意味の揺らぎ" 大浦編『文学をいかに語るか』(新曜社). 315-331 (1996)
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[Publications] 大浦康介: "文学理論" 大浦編『文学をいかに語るか』(新曜社). 14-51 (1996)
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[Publications] 大浦康介: "フィクション" 大浦編『文学をいかに語るか』(新曜社). 240-269 (1996)
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[Publications] 吉田城: "テクスト生成論" 大浦編『文学をいかに語るか』(新曜社). 52-68 (1996)
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[Publications] 吉田城: "パスティーシュ" 大浦編『文学をいかに語るか』(新曜社). 332-346 (1996)
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[Publications] 田中雅一: "Patrons,Devotees and Goddesses" Manohar (New Delhi), 228 (1996)
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[Publications] 吉田城: "神経症者のいる文学-バルザックからプルーストまで-" 名古屋大学出版会, 350 (1996)