1995 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本社会に於ける都市下層社会に関する社会学的研究
Project/Area Number |
07301068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
田巻 松雄 名古屋商科大学, 商学部, 助教授 (40179883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲月 正 北九州大学, 外国語学部, 助教授 (00232512)
志村 哲郎 山口女子大学, 文学部, 助教授 (50264982)
中根 光敏 広島修道大学, 人文学部, 助教授 (40212089)
三輪 嘉男 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (10046865)
八木 正 大阪市立大学, 文学部, 教授 (80022101)
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Keywords | 都市下層 / 寄せ場 |
Research Abstract |
「現代日本社会に於ける都市下層社会に関する社会学的研究」テーマについて、問題意識、作業仮説、調査方法の共有化のための全体的な議論を進めながら、研究分担者が調査協力者とともに、予備的な個別の調査研究を進めた。全体的な議論で1つの焦点となったのは、「日本の下層社会」の今日的な特徴や問題状況をどのように概念規定するかであった。このために、いくつかの作業を同時並行的に進めた。まず、アメリカや西欧で新しい都市の貧困が注目されアンダークラス(Underclass)等の概念が提起されているが、それらの研究のレヴュ-を踏まえた上での日本の現状との国際比較。次に、従来の日本の都市下層社会についての諸研究の知識社会学的検証。そして、主に寄せ場をフィールドとする予備的な調査研究による仮説の構成である。こうした作業を通じてほぼ共有化された暫定的な知見としては、今日の都市下層社会は、所得や生活水準といった相対的な量的把握に止まらず、質的なカテゴリーの問題としても把握される必要性があることである。それらを規定するためのキーワードとして、非組織、非定住(不定住)、被差別、排除、孤立等が揚げられ、どのような下層社会の諸現象に着目すべきかという問題と共に、議論がつめられた。もう1つの議論の焦点は、都市下層社会の諸問題を「都市問題」「政治問題」「労働問題」という視点から総合的にアプローチするための具体的な調査・研究方法についてであった。この点についても、上記の国際比較、知識社会学的検証、予備的調査の作業を通し、調査・研究方法の共有化が図られた。次年度では、以上の議論を踏まえ、関東・東海地域、関西地域、西日本地域における都市下層社会についての社会調査を中心に共同研究を進める予定である。
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