1997 Fiscal Year Annual Research Report

概念史と社会史の手法による法と社会の近代化過程の比較研究

Research Project

Project/Area Number	07302001
Research Institution	Hokkaido University
Principal Investigator	小川浩三北海道大学, 法学部, 教授 (10142671)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	石井紫郎国際日本文化研究センター, 教授 (00009797) 村上淳一桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (80009795) 山田欣吾共立女子大学, 国際文化学部, 教授 (70017523) 成瀬治成城大学, 文芸学部, 教授 (70011278) 石川武北海道大学, 法学部, 名誉教授 (20000648)
Keywords	租税 / 法律家 / 家 / 皇帝権 / 身分制 / 共和主義 / 近代国家 / 自由
Research Abstract	今年度は最終年度に当たるため、各研究班でこれまでの研究成果を取りまとめた。古代研究班は、古代末期の皇帝権の都市支配と租税徴収システムについて研究をまとめ、中世社会の基礎となるとともに、近世・近代の中央権力の理念像の原形を提供した古代末期皇帝権のあり方について理解を深めた。中世研究班は、特に中世中期から後期にかけての訴訟制度の発展についての研究を深めるとともに、「近代国家」の成立における学識法律家の多様な政治的機能を実証的に検討し、これまでの「王権による集権化に奉仕する官僚制的法律家」というイメージを相対化することに成功した。近世・近代研究班は、伝統的な身分制的社会構造と近代思想の諸範疇の相互的規定関係を、例えば「共和主義」、「人権」、「自由」などのような基礎的概念を例として究明した。日本・比較史研究班は、日本の「家」の「家職」的性格が国制全体にとってどのような意味を持っているかについてこれまでの研究を総括し、ヨーロッパとの間の比較史的研究をまとめた。各研究班によるこれらの作業をもとにして、第一回の全体合宿研究会を開いて各研究班より報告を行ない、全体で討議をした。各研究班の報告と全体討議にもとづいて、研究代表者が「ヨーロッパと日本における法と社会の近代化過程」と題する総括報告を取りまとめ、第二回の全体合宿研究会全体で報告した。この報告の中心的論点は次のとおりである。(1)古代における政治的ターミノロジーの成立、(2)古代末期の皇帝権、国制、租税制度、(3)学識法律家が法と社会の近代化に対して果たした役割、(4)身分制と「家」-日欧の比較。この報告について全体で討議をし、近代世界の一つの重要な要素としてのナショナルな観念の社会的基盤の問題、伝統的な身分制や家によって規定され続けた「近代」的構造の変質過程の問題等について、更に研究を進める必要が認識された。

Research Products
(10 results)

All Other

All Publications (10 results)

[Publications] 山田欣吾: "ザクセン朝下の「王国」と「帝国」" 成瀬、山田、木村靖二編『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 111-152 (1997)
[Publications] 山田欣吾: "叙任権闘争の時代" 成瀬、山田、木村靖二編『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 153-208 (1997)
[Publications] 村上淳一: "転換期の法思考" 桐蔭法学. 3巻2号. 1-24 (1997)
[Publications] 石部雅亮: "ドイツ民法典の成立史に関する一考察" 比較法研究. 58号. 5-20 (1997)
[Publications] ISHIBE,Masasuke: "Die Verwestlichung des japanischen Rechtsdenkens in der fruhen Meiji-Zeit" G.Kobler u.H.Nehlsen(hrsg.):Wirkungen europaischer Rechtshultur. Festschrift fur Karl Kroeschell zum 70.Geburtstag. 419-439 (1997)
[Publications] 和田卓朗: "(書評)山本文彦『近世ドイツ国制史研究-皇帝・帝国クライス・諸候-』" 法制史研究. 46号. 306-310 (1997)
[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)カール・クレッシェル「法史学の観点で見た「自己決定」」" 松本博之、西谷敏(編)『現代社会と自己決定権-日独シンポジウム-』(信山社). 24-47 (1997)
[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)カール・クレッシェル「中世中期ドイツのレーン法と国制」" 大阪市立大学法学雑誌. 44巻1号. 106-168 (1997)
[Publications] ISHII,Shiro: "Zur Anwendung des Feudalismus-Begriffs auf die japanische Geschichte" Japan Review-Bulletin of the International Research Center for Japanese Studies-. No.9. 75-85 (1997)
[Publications] 和仁陽: "(書評)石部雅亮・笹倉秀夫『法の歴史と思想』" 法学教室. 197号. 54-54 (1997)

1997 Fiscal Year Annual Research Report

概念史と社会史の手法による法と社会の近代化過程の比較研究

Principal Investigator

小川 浩三 北海道大学, 法学部, 教授 (10142671)

Research Products

[Publications] 山田欣吾: "ザクセン朝下の「王国」と「帝国」" 成瀬、山田、木村靖二編 『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 111-152 (1997)

[Publications] 山田欣吾: "叙任権闘争の時代" 成瀬、山田、木村靖二編 『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 153-208 (1997)

[Publications] 村上淳一: "転換期の法思考" 桐蔭法学. 3巻2号. 1-24 (1997)

[Publications] 石部雅亮: "ドイツ民法典の成立史に関する一考察" 比較法研究. 58号. 5-20 (1997)

[Publications] ISHIBE,Masasuke: "Die Verwestlichung des japanischen Rechtsdenkens in der fruhen Meiji-Zeit" G.Kobler u.H.Nehlsen(hrsg.):Wirkungen europaischer Rechtshultur. Festschrift fur Karl Kroeschell zum 70.Geburtstag. 419-439 (1997)

[Publications] 和田卓朗: "(書評)山本文彦『近世ドイツ国制史研究-皇帝・帝国クライス・諸候-』" 法制史研究. 46号. 306-310 (1997)

[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)カール・クレッシェル「法史学の観点で見た「自己決定」」" 松本博之、西谷敏(編)『現代社会と自己決定権-日独シンポジウム-』(信山社). 24-47 (1997)

[Publications] 和田卓朗: "(翻訳)カール・クレッシェル「中世中期ドイツのレーン法と国制」" 大阪市立大学法学雑誌. 44巻1号. 106-168 (1997)

[Publications] ISHII,Shiro: "Zur Anwendung des Feudalismus-Begriffs auf die japanische Geschichte" Japan Review-Bulletin of the International Research Center for Japanese Studies-. No.9. 75-85 (1997)

[Publications] 和仁 陽: "(書評)石部雅亮・笹倉秀夫『法の歴史と思想』" 法学教室. 197号. 54-54 (1997)

小川浩三北海道大学, 法学部, 教授 (10142671)

[Publications] 山田欣吾: "ザクセン朝下の「王国」と「帝国」" 成瀬、山田、木村靖二編『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 111-152 (1997)

[Publications] 山田欣吾: "叙任権闘争の時代" 成瀬、山田、木村靖二編『世界歴史大系・ドイツ史1』(山川出版社). 153-208 (1997)

[Publications] 和仁陽: "(書評)石部雅亮・笹倉秀夫『法の歴史と思想』" 法学教室. 197号. 54-54 (1997)