1996 Fiscal Year Annual Research Report
中性子散乱によるフラクソイド構造解明とその理工学的応用
Project/Area Number |
07305002
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Section | 総合 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長村 光造 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 助手 (50214060)
今井 正幸 東京大学, 物性研究所, 助手 (60251485)
古坂 道弘 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (60156966)
新井 正敏 高エネルギー物理学研究所, 教授 (30175955)
松下 照男 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90038084)
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Keywords | 混合状態 / フラクソイド格子 / 中性子小角散乱 / 臨界電流密度 / 高温酸化物超伝導体 / 異方性 / 局所構造 / 規則 / 不規則転移(融解) |
Research Abstract |
超伝導体中に侵入した磁界の構造は研究が進むに従い、その多様性が明らかになってきた。磁束線格子(FLL)は高温・高磁場で不規則転移、融解現象を起こすこと、2次元性の強い超伝導体ではその構造に異方性が現れることなどが議論され、また工学的にも磁束ピンニングの理論的検討にFLLの構造の知見は必要不可欠である。そこで本研究では高精度のFLL観察用中性子散乱装置を構築して金属超伝導体および酸化物超伝導体中における実際の磁束線格子の構造を解明するとともに、同時にデコレーション法、走査ホールプローブ法および低温STM/STS法により得られる知見を総合して磁束構造の電磁気現象への影響を解明することを目的とした。 FLLの構造の研究は超伝導機構の考察および電磁気学的研究に重要な知見を与える。次のような研究課題を平成8年に研究者全員の緊密な協力関係のもと順次遂行した。 (1)FLL構造の異方性、次元性及び相図の解明:平成7年度に引き続き磁束構造からみた超伝導状態の変化を、種々の超伝導体の臨界磁場、GLパラメーターの依存性を系統的に研究した。(2)磁束線(FL)のピンニングによる磁束分布の変動の解明:ピンニングによるFLLの変形について Brandt(1986-1990)の理論、2次元性超伝導体における FLLについて KoganとCampbell(1990)の考察の検証を金属系超伝導体及び酸化物超伝導体を用いて行った。(3)FLLのダイナミクスの解明:規則/不規則転移や臨界磁場近傍における消滅過程等は統計物理学的に興味がもたれるが、パルス磁場のような外部からの摂動による時間応答をSANSその場測定で調べた。(4)磁化過程の電磁気学理論による解析:磁化測定の結果をビーン模型等の臨界状態理論により解析して、超伝導体内の磁束分布を推定し、実験から決定した磁束分布を比較検討を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Osamura: "SANS Study of Magnetic Flux Structure (La_<1-x>Sr_x)_2CuO_4" JAERI NSL REPORT (April 1995〜March1996). 69-70 (1996)
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[Publications] 長村光造: "中性子小角散乱法による第2種超伝導体中の磁束構造の観察" 応用物理. 65・4. 367-371 (1996)