1995 Fiscal Year Annual Research Report
高等脊椎動物における自律神経機能の種特異性に関する比較生物学的研究
Project/Area Number |
07306025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 茂 東京大学, 農学部, 教授 (70111482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
内藤 順平 名古屋大学, 農学部, 助教授 (30048467)
松井 寛二 信州大学, 農学部, 助教授 (50126166)
斉藤 徹 日本獣医畜産大学, 畜産獣医学部, 助教授 (70211258)
原田 悦守 鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)
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Keywords | 自律神経 / ハタネズミ / テレメトリー / バイオリズム / パワースペクトラム / 自律神経中枢 |
Research Abstract |
各種哺乳動物の自律神経機能の一端を明らかにする目的で、ハタネズミ、マウス、ラット、ウマ、ウシからテレメトリー法等によって心電図、行動量、体温等を記録し、以下に述べる各種の解析を行った。また、ハタネズミの消化管ならびにニワトリのクロアカを支配する自律神経支配の中枢領域を免疫組織化学的に同定した。 1.心拍変動解析 パワースペクトラムおよび心拍変動係数:ハタネズミ、マウス、ラットおよびウマの長時間心電図記録に基づいて心拍間隔の周期解析を行った。パワースペクトラムでは、それぞれの動物種毎に一定の高周波数帯域(HF)および低周波数帯域(LF)が存在すること、HF成分とLF成分の比率等から、記録時における交感神経緊張度ならびに副交感神経緊張度を推測することができることが明らかになった。また、心拍変動係数(CV)は動物種によって差異が認められ、たとえば、ハタネズミの安静時CVはマウスのCVに比べてかなり大きな値を示すことから、副交感神経の影響が大きいことが示唆された。 2.心拍、行動量、体温のリズム ハタネズミ、マウス、ラットおよびウシの心拍、行動量、体温等について、リズムと相互関係を観察した。これらの指標は運動時や摂食時に亢進し、睡眠時や休息時には低下するほか、各動物種に特有の概日リズムが認められた。すなわち、マウス、ラットでは夜間に高く、昼間に低いという明瞭な24時間周期を示したが、ハタネズミでは、24時間のリズムよりも1周期が4時間前後のウルトラジアンリズムが明瞭であった。いずれの動物種でも、交感神経機能は運動や摂食によって高まり、これによって生体が要求する酸素要求を満たすべく支援的な働きをもつことが示唆された。 3.環境温度および低酸素環境の影響 ハタネズミおよびマウスにおいて、環境温度が12Cの場合と24Cの場合における心拍レベルの変化等を観察した。ハタネズミはマウスに比べて冷涼環境下および低酸素環境下での心拍の予備力が高いことがわかった。 4.免疫組織化学的研究 ハタネズミの胃を支配する疑核および迷走神経背側核の細胞分布を明らかにした。また、ニワトリのクロアカを支配する自律神経支配の中枢領域に関して、室傍核の吻側部は交感神経性、尾側部は副交感神経であることなどが明らかになった。
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[Publications] Harada E. Hashimoto Y. Syoto B.: "Polydextrose induces precocious cessation of intestinal macromolecular transmission and development of digestive enzymes in tha suckling rat." Com Biochem Physlol A Physlol.111(3). 479-485 (1995)
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[Publications] Kuwahara, M. et al.: "Cardiovascular responses mediated by two types of endothelin ETB receptor in spontaneously hypertensive and Wistar-Kyoto rats." Eur. J. Pharmacol.296. 55-63 (1996)
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[Publications] 中田義禮 他: "ビ-グル犬心電図におけるT波とQT間隔" 動物の循環器. 28. 86-94 (1995)
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[Publications] 鵜沢巨樹 他: "麻酔ウサギにおける上気道の水応答性呼吸循環反射" 動物の循環器. 28. 27-43 (1995)
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[Publications] 菅野茂: "ヒトと動物の心電図波形" アニテック. 7. 3-8 (1995)
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[Publications] 局博一: "心拍数-その生物学的背景" アニテック. 7. 13-17 (1995)