1996 Fiscal Year Annual Research Report
SHRにおける高血圧遺伝子の連鎖分析に関する病態生理・生化学的共同研究
Project/Area Number |
07308076
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
家森 幸男 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80025600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 一和 京都大学, 医学部, 教授 (00172263)
二宮 石雄 広島大学, 医学部, 教授 (80033976)
黒川 清 東海大学, 医学部, 教授 (30167390)
澤村 誠 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (00187303)
奈良 安雄 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (80116417)
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Keywords | 高血圧 / 脳卒中 / 遺伝子 / 連鎖分析 / 腎機能 / 心肥大 / 細胞内情報伝達 / 内分泌 |
Research Abstract |
日本で開発され、今や世界中で高血圧、脳卒中の研究に最良のモデルとして活用されている高血圧自然発症ラット(SHR)および脳卒中易発症SHR(SHRSP)とその対照正常血圧ラットWKY系の最適のreference系として確率したSHRSP/Izm,やWKY/Izmを用い、高血圧の遺伝子を同定しその遺伝的成因を解明するため、高血圧と正常血圧動物の間で得られた多数のF2で遺伝子マーカーと高血圧、あるいはそれに関連した病態生理生化学的特性についての連鎖分析を行った。SHRSPと正常血圧ラットのF2世代を用い、血圧を正確に測定し、高血圧関連病態を精査すると共に、DNAの多型性を精査して血圧との連鎖分析を実施した。その結果1)第1染色体上D1Mit2座位近傍、第3染色体上D3Mgh16座位近傍、第4染色体TRY1遺伝子座位近傍の3カ所にSHRSPとWKYのF2における収縮期血圧と強く連鎖する領域が、第9、10染色体上の2カ所にそれよりやや弱く連鎖する領域が認められた。従って、これら染色体領域に高血圧遺伝子がそれぞれ存在する可能性が示唆された。第1、3、4染色体上の領域と第9、10染色体上の高血圧遺伝子示唆領域を合わせた5つの領域によって、F2における血圧の分散の36.6%を説明できた。これは遺伝素因に基ずく血圧の分散の殆どを説明する割合であった。2)第1染色体に関しては、以前の研究で連鎖の認められていたLSN、MYL2遺伝子座位を一端とするおよそ35cMの範囲にSHRSPの収縮期血圧に対する高血圧主要遺伝子が存在するものと推測された。したがって今後、本研究において明らかになった領域に存在するいくつかの高血圧候補遺伝子に関して検討していくと共に、これら領域におけるコンジェニック系統を作製しその領域を詳細に調べることによって、SHRSPにおける高血圧遺伝子を解明することが期待される。F2分離世代の内、高血圧(H)群と正常血圧(N)群を選び、リコンビナントのHF、NF系を確立し、その維持を行って班員が実験体制が整った時点でこれらを研究に活用し、高血圧遺伝子とその病態生理、生化学的発症機序についての研究に寄与すると考えられる。本研究は2年の時限があり、これら全ての研究計画の実施はこの限られた期間内には不可能であるが、モデル動物における高血圧遺伝子の同定からヒトの本態性高血圧の遺伝子発見に向け、さらに重点領域に発展することが期待される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Matsumoto,C.,Nara,Y.,Ikeda,K.,Tamada,T.,Mashimo,T.,Nabika,T.,Sawamura,M.,Yamori,Y.: "Cosegregation of the new region on chromosome 3 with salt-induced hypertension in female F2 progeny from stroke-prone spontaneously hypertensive and Wistar-Kyoto rats." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23. 1028-1034 (1996)
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[Publications] Ikeda,K.,Nara,Y.,Matsumoto,C.,Mashimo,T.,Tamada,T.,Sawamura,M.,Nabika,T.,Yamori,Y.: "The region responsible for stroke on chromosome 4 in the stroke-prone spontaneously hypertensive rat." Bichem.Biophys.Res.Commun.229. 658-662 (1996)
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[Publications] Takaya,K.,Ogawa,Y.,Hiraoka,J.,Hosoda,K.,Yamori,Y.,Nakao,K.,Koletsky,RJ.: "Nonsense mutation of leptin receptor in the obese spontaneously hypertensive Koletsky rat." Nature Genetics. 14. 130-131 (1996)
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[Publications] Yamori,Y.,Murakami,S.,Nara,Y.,Ikeda,K.: "Stroke-prone SHR and arteriolipidosis-prone SHR as models for atherosclerosis their mechanisms and application for nutritional and pharmacological studies." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.Suppl.1. S244-S245 (1996)
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[Publications] Sato,T.,Nara,Y.,Kato,Y.,Yamori,Y.: "Effect of antihypertensive treatment with alacepril on insulin resistance in diabetic spontaneously hypertensive rats." Metabolism.Vol.45 No.4. 457-462 (1996)
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[Publications] 奈良安雄、池田克己、松本千穂、真下知志、玉田知子、澤村誠、家森幸男、並 河徹: "雌性脳卒中易発症ラットにおける食塩感受性遺伝子の検索" 血圧. Vol.3 No.2. 62-67 (1996)
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[Publications] Saito,H.,Yamori,Y.,Minami,M.,Parvez,S.H.(Eds.): "New Advances in SHR Research-Pathophysiology & Pharmacology.Vol.3" VSP, 231 (1995)
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[Publications] 奈良安雄、家森幸男: "メディカル用語ライブラリー 高血圧(1 高血圧遺伝子)" 羊土社, 1415 (1995)