1996 Fiscal Year Annual Research Report
リスク認知とコミュニケーション効果の国際比較 -日本・中国・アメリカ-
Project/Area Number |
07401003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
木下 冨雄 摂南大学, 経営情報学部, 教授 (10026742)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉万 俊夫 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10135642)
吉野 絹子 摂南大学, 経営情報学部, 助教授 (40220701)
|
Keywords | リスク認知 / 認知と感情の構造 / 認知バイアス / 社会的受容 / 文化交差的調査 |
Research Abstract |
本研究は、平成7年から10年にわたる、リスク認知の総合的な国際比較研究の第2年目にあたる。 平成7年度においては、日本(大阪市)と中国(北京市)における、科学技術と物質に対するリスク認知と社会的受容の構造解析を行ったが、今年度は、米国を対象とした文化交差的調査を実施した。対象とした地域は、ロスアンゼルス市である。サンプル数は800人。調査手法は電話調査法(CATI)である。 リスク認知の対象とするトピックスは、前回の調査と同様に、原子力関係の2トッピクス(原子力発電と胸部レントゲン)、嗜好品関係の2トピックス(たばこと麻薬)である。 調査項目の内容も、日本や中国の場合と全く同じである。すなわち、項目の中には、4つのトピックスに対するリスク認知、効用性認知、社会的受容を始めとして、リスクに関わるさまざまな態度や感情的要因が含まれている。また、科学技術一般に対する態度、政治的価値観、個人のデモグラフィック特性など、リスク認知を媒介する各種の要因も併せて測定された。 その結果、胸部レントゲンに対する認知は、安定した科学技術として3国間で大きな違いは認められなかったが、残るトピックスに関しては、国による大きな違いがみられた。その背後には、これらのトピックスに対する3国の政府の対応の仕方や、歴史性、文化性の違いが反映していた。また、トピックスによって、認知構造と感情構造が整合的なものと、不整合なものが見られた。そしてこの不整合さが、社会的受容を不安定にしている理由の一つと思われる。
|