1997 Fiscal Year Annual Research Report
「差異」の商品化と地域アイデンティティ -地域文化形成における観光開発の位置づけについて-
Project/Area Number |
07401008
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 潔 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60217841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文学部, 助手 (00251687)
井口 欣也 新潟大学, 人文学部, 講師 (90283027)
渡辺 登 新潟大学, 人文学部, 助教授 (50250395)
伊藤 守 新潟大学, 人文学部, 教授 (30232474)
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Keywords | 地域アイデンティティ / 開発 / 観光 |
Research Abstract |
本研究は、地域活性化における地域の主体的計画形成プロセスを、実証的に明らかにすることを目的とする。初年度は先行研究の把握、調査枠組の理論的な考察および実態把握調査の結果を検討し、昨年度は事例研究を行ない、行政関係・観光関連企業の資料収集とその分析をおこなうとともに、数次にわたり実態調査に赴き、関係者のヒアリングをおこなった。特に、両津市に関して、初年度行なった当該地区住民へのプリテストの検討に基づき、現在の両津の観光事業とそれに対する住民の意識に関し、具体的な項目について聞き取り調査を行ない、相川町において、佐渡全体の観光事業に関して資料収集を行なった。 初年度および次年度の研究において、観光事業に伴う住民意識の変化と住民の「地域づくり」に参加するプロセスについて収集したヒアリングの結果を分析し、実地調査を通じて「伝統」に対する住民の意識の違いに関し有益な知見を得ることができた。本年度においては、両津市および巻町において補足調査を行ない、昨年度までの調査結果および補足調査に基づき、研究分担者各自の研究分野に応じ、報告書作成を分担した。報告書分担の概要は以下のとおりである。伊藤は「観光」をめぐる言説分析の方法論的考察を担当し、研究の理論的枠組みを示し、地域からの観光開発の事例研究を報告する。杉原、井口および中村は両津市における実地調査にもとづき、両津市の観光政策の分析(杉原)、両津市郷土博物館を例にとった地域の伝統文化と博物館の問題(井口)および観光政策の変化と地域文化の意識(中村)、に関して報告する。また、渡邊および中村は、地域の自立の可能性について、巻町における地域づくりの問題を近年問題となった原子力発電所建設問題に関わる地域住民の政治参加という視点からの分析(渡邊)およびインドネシア共和国バリ州における「開発」と「伝統」の問題の分析(中村)を通じて報告する。
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