1996 Fiscal Year Annual Research Report
藤ノ木古墳出土品関連金銅製品の研究(金銅製品の技術的・文化的研究を行う)
Project/Area Number |
07401013
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
泉森 皎 奈良県立橿原考古学研究所, 副所長 (80250356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 尚功 奈良県立橿原考古学研究所, 調査二課, 総括研究員 (80250364)
前園 実知雄 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 室長 (00250358)
勝部 明生 五條市博物館, 館長 (00110065)
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
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Keywords | 藤ノ木古墳 / 出土金銅製品 |
Research Abstract |
藤ノ木古墳出土品関連金銅製品の研究で、本年度は次の研究を行った。 1.藤ノ木古墳出土金銅製品の細部調査と金工技法の解明 イ 出土品の保存修理が行なわれている奈良国立文化財研究所において、大刀1、剣の実体調査を行なった。剣では、鞘の装身性を追求した。鞘には4本の金銅製帯金具をめぐらしているが、帯金具の下には6色の平絹のベルト施した上に金銅製の帯をまいている。平絹は6色に彩色したものを2mmずつづらして重ね、金銅の帯が映えるように色彩的工夫を加えている。鞘外装の装飾板の下には紺あるいは紫色の綾(山形文)を下地にしてその下から紺色綾が透けて見えるように工夫されている。 ロ 剣1の鞘外装の装飾板の調査を行なった。従来、鞘袋と思われる布が付着しているため文様が明らかでなかったが、今回の調査とX線フィルムの検討の結果、装飾板は菱文と下向の三葉文、蕨手文が複合したもので、韓国量山洞1号、同達城51号第2槨出土の帯金具文様に共通することが判明した。 ハ 大刀1の外装、戻り環頭部の接合、勾金の柄への着装(緒による刀身関部、柄の一括固定)を研究した。また三輪玉の勾金への固定、金銅板へのガラス玉のはめ込み具合を調査した。 2.藤ノ木古墳出土刀剣の復元製作 イ 大刀1に伴う魚佩の復元品製作と技法の比較研究を行なった。魚佩の銅版は0.4mmであるので、0.6mmの銅版を木槌で延ばし、凹凸を出して0.4mmに合わせてその上に、ナメクリタガネで鱗文を打ち込んだ。タガネ痕は断続的で横長の楕円形をしている。タガネの角を丸めて、実験的に鱗文を復元した。 ロ 大刀1の外装木工部分の復元製作を行い、鞘尻、柄頭には平行線内に列点文を施した彫刻が多用されており、その列点文が、円形、菱文など多種類あるのでノミ状工具での復元製作を行なった。この彫刻面に0.2mmの銀板をあて、平行線文内の列文の浮き出し作業を行なった。
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