1997 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースの結晶変態過程における分子鎖挙動の動的解析
Project/Area Number |
07406018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30011927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30162530)
和田 昌久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40270897)
空閑 重則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60012051)
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Keywords | 結晶変態 / セルロース / ラミ- / 結晶ポアソン比 / 結晶弾性率 / セルロースIα / セルロースIβ / X線回折 |
Research Abstract |
(1)シオグサの高結晶性セルロースミクロフィブリルの高度配向フィルムをヘリウム中で加熱することによって、セルロースIαをIβへ変態させ、その過程を位置敏感型比例計数巻(PSPC)で追跡し、結晶格子が変化する状況を動的に捉えることに成功した。セルロースIαは高温蒸気処理によってセルロースIβに変態することが知られているが、その変態が分子鎖の回転によるのか、ずれによるのか、あるいはそれ以外によるのかを決することができる見通しが立ち、変態機構解明に大きく踏み出すことができた。 (2)ラミ-繊維を引張して、結晶の分子鎖方向と直角方向の歪みをPSPCに同時に記録測定することにより、セルロース結晶のポアソン比を求めることに初めて成功した。スパン16mmのラミ-繊維100本からなる繊維束を作製し、繊維試料引張装置で引張し、セルロース結晶の代表的な3つの赤道面回折を同時にPSPCに記録することによって、負荷加重-横歪み曲線を得た。同様にして得た子午線回折からの負荷加重-縦歪み曲線からセルロース結晶の縦ヤング率、ポアソン比ν_<ba>を測定し、それぞれ129GP、0.34を得た。(3)ラミ-繊維のアルカリ膨潤過程をPSPCならびにイメージングプレート(IP)を用いて追跡し、幾つかの新しい結果を得た。長さ2cmのラミ-繊維400本に濃度3.5規定のアルカリを50μ1づつ加えていくと、段階的に膨潤させながら各段階の回折データを得ることができた。この方法でセルロース結晶の代表的な3つの赤道面回折を同時に捉え、それらの積分強度の変化を比較した。その結果、セルロース結晶は周辺から同時に侵食されるのではなく、a軸方向が他に先行する、すなわちab面の水素結合シートがあたかも剥がれるように崩壊していくと推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ishikawa, M.Wada, K.Igarashi, S.Kuga, T.Okano: "Effect of cellulase treatment on tensile properties of M.Samejima,ramie fiber" Mokuzai Gakkaishi. 43. 337-341 (1997)
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[Publications] Y.Nishiyama, S.Kuga, M.Wada, T.Okano: "Cellulose microcrystal film of hifh uniaxial orientation" Macromolecules. 30. 6395-6397 (1997)
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[Publications] M.Wada, J.Sugiyama and T.Okano: "Synchrotron-radiated x-ray and neutron diffraction study of native cellulose" Cellulose. 4. 221-232 (1997)
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[Publications] N.Hayashi, J.Sugiyama, T.Okano, M.Ishihara: "The enzymatic susceptibility of cellulose microfibrils of the algal-bacterial type and the cotton-ramie type" Carbohydrate Research. 350. 109-117 (1997)
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[Publications] N.Habu, K.Igarashi, M.Samejima, B.Pettersson and K-E.L.Eriksson: "Enhanced production of cellobiose dehydrogenase in cultures of Phanerochaete chrysosporium supplemented with bovine calf serum" Biotechnol.Appl.Biochem.26. 97-102 (1997)
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[Publications] H.Shibazaki, M.Saito, S.Kuga, T.OKANO: "Native cellulose II production by A.Xylinum under physical condition" Cellulose in press. (1998)