1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07407010
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 維紹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50133616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 忠昭 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60272431)
瀧 伸介 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50262027)
田中 信之 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80222115)
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Keywords | インターフェロン / 転写因子 / IRF-1 / ナチュラルキラー細胞 / アポトーシス / 癌 / インターロイキン2 / T細胞 |
Research Abstract |
本年度は、インターロイキン-2受容体βサブユニット(IL-2Rβ)の細胞質領域のうち、Stat3および5を活性化することが知られているものの、IL-2によって誘導される増殖反応には必須ではなく、その機能が明らかではない亜領域(H領域)について検討を加えた。すなわち、本H領域を欠損する変異IL-2Rβ鎖トランスジェニックマウスを作成し、IL-2Rβ鎖を全く欠損するマウス(IL-2Rβ^<-/->マウス)と掛け合わせたところ、IL-2Rβ^<-/->マウスで見られたT細胞の異常活性化は是正されたものの、ナチュラルキラー(NK)細胞や、特殊なT細胞である小腸上皮内γδT細胞の分化異常は全く更正出来なかった。このことは、これまでの細胞株を用いた検討法によっては不明であったIL-2Rβ鎖を介するシグナル伝達の新しい側面を明らかにしたものである。NK細胞の分化については、一方で転写因子IRF-1が重要であることを昨年度までに明らかにしているが、本年度は、IRF-1欠損マウス(IRF-1^<-/->マウス)で見られるNK細胞の分化異常は、その骨髄中に存在するNK前駆細胞の異常によるのではなく、NK細胞の分化を支持する骨髄内微小環境の異常に起因することが明らかに出来た。さらに、その異常の分子機構として、IRF-1はIL-15遺伝子プロモーターに結合し、その転写を制御しており、為にIRF-1^<-/->骨髄ではIL-15の産生が著しく低下していることを発見した。上記、IL-2RβはまたIL-15の受容体のサブユニットとして知られており、本研究はNK細胞の分化について、NK前駆細胞(IL-2Rβ鎖)ならびに骨髄内微小環境(IRF-1/IL-15)の両面からその分子機構を明らかにするものである。また、昨年度までの成果と総合すると、IRF-1は、生体防御に重要な二つの細胞集団、すなわちTh1細胞とNK細胞の分化に、前者ではIL-12、また後者ではIL-15の異なる遺伝子の発現調節を通じて貢献している必須の転写因子であることが明かに出来た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Konda,T.et al.: "Identification and characterization of nucleophosmin/B23/numatrin which binds the anti-oncogenic transcription factor IRF-1 and manifests oncogenic activity." Oncogene. 15. 1275-1281 (1997)
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[Publications] Taki,S.et al.: "Multistage regulation of Th1-type immune responses by the transcription factor IRF-1." Immunity. 6. 673-679 (1997)
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[Publications] Taniguchi,T.et al.: "IRF-1 : the transcription factor linking the interferon response and oncogenesis." Bioch.m.Biophys.Acta,Reviews on Cancer. 1333. M9-17 (1997)
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[Publications] Ogasawara et al.: "Requirement of IRF-1 for the microenvironment supporting natural killer cell development." Nature. 391. 700-703 (1998)
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[Publications] Tanaka,N.et al.: "Type I interferons are essential mediators of apoptotic death in virally-infected cells." Genes to Cells. (印刷中). (1998)
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[Publications] Miyazaki,T.et al.: "Pyk2 is a downstream mediator of the IL-2 receptor-coupled Jak-signaling pathway." Genes Dev.(印刷中). (1998)