1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトグリオーマ細胞の個性を規定する遺伝子群の単離と解析-GFAP遺伝子の発現調節機構からみた解析-
Project/Area Number |
07407039
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (A)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 聰 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90202663)
薄井 宏 新潟大学, 脳研究所, 助手 (20192510)
鷲山 和雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (00183715)
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Keywords | グリオーマ / がん抑制遺伝子 / p53遺伝子 / p16遺伝子 / defferential screening |
Research Abstract |
本年度は二方向性に研究を進めた。まず第一にヒトグオ-マ細胞株を対象にこれらのがん化に直接的に関与していると思われるCDK inhibitor遺伝子群のうちp53、p21、p16、p15遺伝子の検索をおこない、これらの遺伝子の変化の実体を明らかにた。ヒトグリオーマ細胞株ではp53、p16、p15遺伝子が高頻度に変化していること、これらの遺伝子変化が高頻度に重複している一方、いずれかの遺伝子変化のみを示すものも存在すること、p53遺伝子に関しては、変異例が主であるが現在まで種々の腫瘍で極めて稀と考えられて来たhomozygous deletion例もみられること、p16遺伝子に関しては、逆にhomozygous deletionを示す例が主であるが、現在までグリオーマでは稀と考えられて来たmissence変異を示す例もみられること、原腫瘍のp53遺伝子、p16遺伝子の検索では検索した全例に培養株と同一の変化が認められること、すなわち培養株の遺伝子変化は原腫瘍に由来するものであり、培養継代中のartefactではないこと、などを明確にすることができた。特に原腫瘍の遺伝子変化が長期培養継代の間も安定して保持されている事実は今後の培養株を用いた研究の有用性を示すものであり極めて重要な知見と思われた。 同時に進めた研究は遺伝子発現の変化の追跡に必要不可欠と思われるdefferential screening法の高感度化を目指した研究である。この研究は胎児期と成熟ラットの脳に於ける遺伝子発現の変化をモデルとしておこなった。その結果cDNA libraryを2種の異なるvectorにて作製し、その一方からprobeを作って他方のscreeningに用いるとbackgroundを極めて低く抑えることが可能であること、したがってより多数のクローンを得ることが可能であることが判明した。更に特定の組織、細胞で発現亢進は又低下しているクローンの確定には通常の方法ではそれらの組織細胞由来のRNAを用いたNorthern blot解析が必要であるが、我々はcDNA library DNAを用いたSouthern blot法で代用可能であることを明らかにした。したがってこの方法を用いれば今後のグリオーマを対象とした本研究を極めて高感度に推進可能と思われた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Koga H.,er al.: "Analysis of p53 gene mutation in human glioma cell lines." Brain Tumor Pathol. 13(in press). (1996)
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[Publications] Falk J.D.,et al.: "Identification and characterization of transcribed sequences on human chromosome 9q 32-34." J.Mol Neurosci. 5. 165-179 (1995)
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[Publications] 古閑比佐志ら: "脳腫瘍に於けるp53癌抑制遺伝子の変異" 脳と神経. 47. 845-855 (1995)
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[Publications] Tsumanuma I.,et al.: "The analysis of p53 tumor suppressor gene in pineal parenchymal tumors." Brain Tumor Pathol.12. 39-43 (1995)
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[Publications] Feng X.,et al.: "Intracranial germ cell tumors:Detection of p53 gene mutations by single-stand conformatior polymorphism analysis." Jpn J.Cancer Res. 86. 555-561 (1995)
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[Publications] 熊西敏郎: "癌抑制遺伝子と脳腫瘍/現代病理学大系補遺版" 中山書店, 16 (1996)
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[Publications] 熊西敏郎: "グリア線維性タンパク質/タンパク質化学第9巻" 広川書店, 5 (1995)