1996 Fiscal Year Annual Research Report
医薬化学研究への高度利用化を目指したシトクロムP-450機能性人工触媒の創製
Project/Area Number |
07407079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 恒彦 東京大学, 薬学部, 助手 (50173159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増野 匡彦 東京大学, 薬学部, 助手 (90165697)
長野 哲雄 東京大学, 薬学部, 教授 (20111552)
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Keywords | シトクロム P-450 / ルテニウム / ポルフィリン / ピリジン N-オキシド / ステロイド / 代謝 / NO / 阻害剤 |
Research Abstract |
本研究は、シトクロムP-450の機能を化学的にシミュレートした人工酵素系の構築と、医薬化学への種々の応用を行うことの2つを目的としており、本年度は以下のような研究成果を得ている。 1)開発を行っているルテニウムポリフィリン-ピリジンN-オキシド誘導体系により、通常困難なステロイド類の不活性アルカン部位の選択的水酸化が可能であることを明らかにした。光学活性中心炭素の水酸化は、立体配座を保持して行えることがわかり、立体選択的な酸化が行えることがわかった。数種の新規酸化成績体が得られ、これらの生理活性の検定を行った結果、テストステロンのレセプターに親和性の高い新規構造様式のものがあることが明らかとなった。 2)モデル系に対する配位能の高さを指標して、NO合成酵素(NOS)の阻害剤の開発を行った結果、誘導型NOSにのみ強い阻害活性を有する、イソ酵素選択性の高い阻害剤の開発に成功した。今後細胞系などへの応用を行う予定である。 3)モデル系において新規の芳香環二量化反応を見出した。これが実際P450酵素系においても起きているかどうかを検討した結果、これも新規な代謝様式として存在することを明らかにした。本反応により得られる新規代謝物の生理活性や毒性に興味が持たれ検討を行っている。 4)水酸ラジカル産生系である銅イオン-アスコルビン酸-酸素系により、窒素官能基を含む芳香環の酸化が速やかに進行し、新規化合物を含む各種酸化成績体の合成を行うことができた。トリプトファン等の新規酸化生成物の毒性や薬効についての検討も行っている。
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[Publications] Tsunehiko Higuchi: "Four recent studies in cytochrome P450 modelings" Journal of Molecular Catalysis A:Chemical. 113. 403-422 (1996)
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[Publications] Masakatsu Komuro: "Novel hydroxylactoization of γ,δ-and β,γ-unsaturated carboxylic acids with iron porphyrin-iodosylbenzene system" J.Chem.Soc.Perkin Trans.1. 2309-2313 (1996)
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[Publications] Yasuteru Urano: "Substrate-dependent changes of the Oxidative O-Dealkylation mechanism of several and biological oxidizing systems" J.Chem.Soc.Perkin Trans.2. 1169-1173 (1996)