1997 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞者の生活支援システムの研究-地域、教育、制度ネットワーク比較調査を通して-
Project/Area Number |
07451066
|
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤島 岳 東洋大学, 文学部, 教授 (80058007)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川池 智子 山梨県立女子短期大学, 助教授 (00224725)
天野 マキ 東洋大学, 社会学部, 教授 (50106035)
|
Keywords | 精神遅滞 / 特殊教育 / 障害者福祉 / 生活支援 / 自己決定 / 養護学校 |
Research Abstract |
本研究は精神遅滞者の社会的自立を保証する教育・生活支援はどうあるべきか、その課題を明らかにするものである。今年度は、昨年度山梨県で実施した社会的自立に関わる「自己決定」についての調査との比較検討の必要性から東京都においても同様の調査を実施した。調査内容は昨年度の山梨と同様の項目とし、都内の通所施設を中心に施設職員700名に調査票を配布し、313名から有効な回答が得られた。 調査結果の概要を次に示す。回答のあった施設職員の性別構成は男性23%、女性75%で女性職員からの回答が多かった。また、所属する施設の種別は、通所施設30.1%、小規模作業所39%、生活寮・グループホーム18.8%となっている。自己決定に関する項目では、昨年度の保護者及び職員の調査と比較して、本人の決定を重視する傾向が見られた。しかし、精神遅滞者本人に自己決定の能力がある場合でも、その決定に対する疑問や不安を感じている職員が多く、今後の課題として精神遅滞者の自己決定をあらてめて定義づけていく必要性があることがわかった。 また、本年度は都内の養護学校5校を対象に自己決定を支援する教育についての聞き取り調査を実施した。教育における自己決定の支援としては、小・中学部において自ら選択する場面を多く設定することで、選択する能力を伸ばしていこうとしていることが把握できた。高等部においては、進路(職業)への結びつきと関連して、自己理解、自己認知について取り組んでいる。これは自己決定の前段階的な存在として位置づけられるものであり、精神遅滞者の社会的自立を支援していく上で大きな課題となるものである。
|