1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451074
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
宮本 袈裟雄 武蔵大学, 人文学部, 教授 (40015889)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 貢 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 助教授 (90227223)
|
Keywords | 民俗誌 / 講集団 / 擬制的親子関係 / 婚姻 / 本分家関係 / 末子相続 |
Research Abstract |
本研究は、被差別部落の詳細な民俗誌の作成を主要目的とし、大阪府寝屋川市国守地区を対象にして民俗調査を実施した。聞き取りを中心とした地域研究を行い、昭和初期以前、第二次世界大戦前、同和対策事業の実施以前、その後の民俗の変遷に留意して全体像の把握につとめた。以下、本年度の研究成果の概要をまとめておきたい。 1)集落の展開 国守地区は、東高野街道が南北に通じ、生駒山系につらなる小高い丘陵部を含む地域に集落が形成されてきた。明治・大正・昭和の地図を基にして、聞き書き資料を補充しながら人口増に伴う集落の拡大と変遷を捉えた。 2)生業の変遷 大正期までは小作、履物作り、日雇いなどが生業の中心で、牛肉の行商も行われていた。第一次世界大戦時の好況により屑物・古物の行商の基礎が出来、昭和初期から主要産業として成長した。とりわけ、第二次世界大戦後は廃品回収業が中心となった。なお、白道講(靴屋)、歓喜講(肉屋)、崇信講(はきもの屋)、親友講(わらじ)などの職業別の講集団が形成されているのが注目される。 3)擬制的親子関係 男子が15〜16歳頃になると信頼できる人を選んでオヤカタをとる。オヤカタはコのことを「うちの若衆」と呼び、コ同士は義兄弟のつきあいとなる。オヤカタは結婚の世話や相談相手となって若衆の面倒をみるという慣行がみられ、地区の人間関係の重要な位置を占めていた。 4)婚姻関係 村内婚が多数を占め、近年まで20歳前後の若い時期の結婚が多かった。イトコミョウトという呼称があり、イトコ同士の結婚は比較的好まれた。 5)本分家関係と相続 オモヤ(本家)とインキョ(分家)といい、長男がオモヤを相続するが、末の男子が相続する末子相続のかたちも若干認められる。ただし、インキョといっても財産分与のほとんどないかたちの分家の方が多くみられた。
|