1995 Fiscal Year Annual Research Report
焼け付き機構の解明と摩擦材料の耐焼け付き性評価法に関する研究
Project/Area Number |
07455077
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹田 直 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60016300)
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Keywords | 焼け付き / 摩耗 / 潤滑 / 摩耗粒子 |
Research Abstract |
摩擦部品の焼け付き機構を解明するため、新しい観点に立って「焼け付き試験機」を自家設計・制作した。この試験機は回転する中空円筒端面を静止中空円筒端面に対して連続摩擦させ、両者の間に焼け付きを生じさせるもので、一見従来からある鈴木式摩擦試験機に類似しているが、二円筒間に接触荷重を与えるばねのコンプライアンスを変えることができ、したがって上円筒試片の上下動を制御できるのが特徴である。 焼け付きは従来、摩擦発熱により摩擦面に局所的な潤滑油膜破断部分を生じ、潤滑状態(低摩擦)から無潤滑状態(高摩擦)に移行する現象と考えられており、油膜破断を起こさないような機械設計、あるいは油膜破断しにくい潤滑油に開発・選定がその対策とされてきた。しかし焼け付いた状態での摩擦抵抗はその摺動部の無潤滑状態での摩擦抵抗よりはるかに大であるという事実は、従来の説明では自棄月を理解することが困難であることを示している。 ここに新しく設計・制作した試験機を用いて鋼同士の焼け付き試験を行なった結果、焼き付きとは摩擦面簡易生じたシビア-摩耗状態の移着粒子が摩擦面間から脱落できずに大型に成長し、摩擦面間隔を押し拡げ、摺動試片を上部につかえさせてしまう現象であることがわかった。すなわち焼け付きは摩擦中にその潤滑状態が変化(劣化)することではなく、摩耗の進行にともなっておこるものである。もし摩擦条件がきわめて微細な摩耗粒子しか発生しないマイルド摩耗を生ずる条件にあるならば、焼け付きという現象はたとえ潤滑油膜が破断しても起こらないものであることを見いだした。以上の所見よりこの試験機による焼け付き試験は工業材料の耐焼け付き性評価試験法として有用なものということができることを結論ずけた。
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