Research Abstract |
従来,単極機は低電圧・大電流であり実用化は困難と考えられてきたが,超電導マグネットによる強力な磁界を導入し,電機子回転円板の多重化ならびに大直径化を行えば,数万V級の電圧が得られる可能性がある。本研究では,将来の大容量直流送電用の変換機への応用を狙って,高電圧化の基礎となる多重電機子回転円板を備えた実験機の試作と試験,および,500kV,500MWの高電圧機の概念設計を行った。その結果,以下の研究成果を得た。 (1)室温ボア150mm,磁束密度4Tの冷凍機冷却型超電導マグネットを用いて,この中に多重化を狙い2枚の回転円板挿入した超電導単極機を試作し,これら2枚の回転円板の個別の起電力,および直列に接続した場合の機械全体としての起電力を測定した。この結果,全起電力は各回転円板の起電力の合計になっていることを確認した。 (2)2枚の回転円板に挟まれる空間にホール素子を取り付け磁束密度を測定し,界磁磁束が回転円板により遮蔽されないこを確認した。 (3)集電ブラシとして,リン青銅の板バネ状ブラシを放射状に配置する方式を試み,これと黒鉛粉末とを併用することにより安定した集電特性を得た。 (4)将来の大容量超電導単極機の概念設計行い,発電所で直接原動磯に直結する方式をとれば,変換効率として99.7%程度が得られ,現在の同期発電機,変圧器,整流器,フィルタ等を用いる静止型変換器に比べて,損失が1/10程度に低減するとが判った。 (5)水車発電機としての,縦軸型500kV,500MW級起電導単極機の概念設計を行い,将来の遠距離大電力HVDC送電用の超電導直流発電機の可能性を見いだした。 (6)超電導単極機の実用化のため残された技術的課題は,1)集電ブラシの高性能化,2)回転子の大直径化,3)漏洩磁束の遮蔽であることが判った。
|