Research Abstract |
繰り返し圧縮力を受ける鋼板の解析 考案した構成式を有限要素プログラムに組み込み薄板の構造解析を行った。解析モデルには,幅厚比パラメータ0.4,0.5,0.6,0.7,0.8の5種類を用いた。また,載荷パターンは一定振幅で平均ひずみ(載荷辺の変位を板長さで除したもの)が降伏ひずみの1,2,3,4,5,6倍となるような6パターンとした。幅厚比パラメータが0.4のモデルでは,大きな平均ひずみを繰り返し与えても局部座屈は起こらなかった。幅厚比パラメータが0.5以上のモデルになると平均ひずみを繰り返し与えるに従い,板たわみが増大していき強度低下が起こった。また,完全弾塑性構成式を用いた解析結果は強度を高く評価しすぎることが分かった。 軸圧縮力と繰り返し曲げを受ける無補剛箱形断面柱の強度および変形能の解析 考案した構成式を用いて無補剛箱形断面柱の解析を行った。解析モデルは,局部座屈についての検討であるため幅厚比パラメータ0.4,0.5,0.6の薄板で構成される正方形箱形断面短柱とした。また軸圧縮力は実構造物に対応するように降伏軸力の0,0.1,0.2倍とした。解析結果から,幅厚比パラメータが0.5以上となると軸圧縮力により板たわみが増大していき繰り返し曲げによって著しい強度低下が起こることが分かった。さらに,幅厚比パラメータ0.4のモデルにおいても軸圧縮力が加わると顕著な強度低下は起きないにも関わらず,板厚以上の大きな残留板たわみが発生することが分かった。鋼種による違いでは,降伏モーメントで無次元化するとひずみ硬化の大きいSS400,LYR590,SM570の順で強度低下が起きにくいことが分かった。 極低降伏点鋼を主体とした桁に取り付ける制振装置の開発 地震時の桁の変位を鋼管のねじりで抵抗することによって小さくし,落橋防止に有効かどうかの検討を行った。具体的には,橋梁全体を1自由度モデルとし地震波を外力,鋼管のねじりを復元力として動的応答解析を行い検討を行った。鋼管には高いエネルギー吸収能が期待できる極低降伏点鋼を用いて,地震時の桁変位を約半分に減少させられることが分かった。また,地震時に吸振装置が橋脚に与える作用力も鋼管を極低降伏点鋼と他の鋼材(SS400,SM570,LYR590)を組み合わせて用いることにより小さく抑えることができることが分かった。
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