1996 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物における地域集団の生活史・窒素固定能の変異と遺伝的分化
Project/Area Number |
07456005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
藤本 文弘 岐阜大学, 農学部, 教授 (80252120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神戸 三智雄 愛知県農業総合試験場, 作物研究所, 主任研究員
古田 喜彦 岐阜大学, 農学部, 教授 (20021719)
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Keywords | 生活史特性 / 窒素固定能 / Medicago / Lupinus / 地域集団 / 自生地 / 酵素多型 |
Research Abstract |
Medicago属について九州、神戸港沿岸地域、出雲・隠岐地域から新しく124点を収集した。最も多い種はM.polymorphaであったが、種名の同定できないものが10点あった。 収集地環境と集団の変異の解析では、13種154集団(国内収集集団89、外国集団65)を用いた主成分分析、2種25集団を用いた岐阜・愛知・栃木での連絡試験結果の解析により、種と地域集団の特徴が明らかになった。日本に自生が多いM.polymorphaとM.lupulinaを比較すると、前者は種内で生育量と草型の変異が大きいのに対して、後者は開花・成熟の変異が大きかった。M.lupulinaは沖縄の集団が特異的で開花が極早く、耐寒性が弱かったが、沖縄県内の島による差も顕著であった。倉敷群は極晩生であった。生活史特性として特に注目されたのは、莢への乾物分配率で、種としてはM.polymorphaが高く、M.lupulinaが低かったが、種内の地域群間にも明らかな差があった。M.polymorphaでは、出雲・島根群は低く、岐阜の柿園群は高く、それぞれの集団分化過程における選択要因の働きの大きさを示唆した。 環境反応の解析と遺伝的分化研究では、5種16集団について土壌水分を3段階に変えた試験により、環境変動に反応する可塑性の高い茎葉重・莢数などの形質と、乾物分配率・莢重・千粒重など遺伝的拘束の高い形質が識別でき、外国集団と日本集団の遺伝的分化が推察された。窒素固定能の変異では、Medicago属で分離した菌株と1年生種の親和関係に特異性があることが明らかになった。種によって根粒着生、窒素固定能力についての親和性幅の広いものと狭いものがあった。Lupinus属では、岐阜圃場の根粒菌に対して、L.hirsutusは根粒の着生が高く、高い窒素固定能を示したが、他の種は根粒着生が低かった。Lupinus属の酵素多型調査でL.hirsutusは調査11の酵素種全てに単型を示し、他の種との類縁度が最も低かった。
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