1997 Fiscal Year Annual Research Report
農地所有・利用の動向と農地保全管理の方策に関する研究
Project/Area Number |
07456099
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture & Technology |
Principal Investigator |
倉内 宗一 東京農工大学, 農学部, 教授 (70143633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 幹俊 東京農工大学, 農学部, 助手 (90014969)
渕野 雄二郎 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60015104)
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Keywords | 昭和一桁世代 / 零細農業 / 一挙離農 / 条件不利地域 / 農地利用調整 / 集落定住 / 耕作放棄地 / 担い手育成 |
Research Abstract |
日本の農家数は1980年代後半にはいるとともに激減しはじめている。これまで農業を支えてきた昭和一桁世代が農業従事から一斉にリタイアするようになったこの段階で、農家に生まれた子弟の誰か(長子)が家とその職業である農業を継承するという慣習が、ほぼ完壁に消滅したからである。零細継承農地では自立した経営にはなり難いという日本農業の零細性がそうした事態を促進した。 構造変動に対応して機械化農業を推進する土地利用型農業経営体の形成が進んだ地域では、離農が全国数値をはるかに上回って進行しているが、農地を貸し付けて離農した世帯の多くはいままで住んできた集落に定住している。他方、地域農業を委ねることができる経営体がない地域では、個別農家が頑張るか「集落営農」など集団の工夫で農業を維持しているか、あるいは耕作放棄が進展している。農業機械化に不適の条件不利地域は、通例の農産物価格での自立的経営体の存立は不可能で、耕作放棄が多発しているが、本来農業機械利用に適する平坦部においても地域により耕作放棄が進展してる。 以上の農地の有効利用を実現している地域、非効率利用が露わな地域を通観する時、土地利用型の担い手育成政策が緊急課題になると結論できる。その際、条件不利地域は価格政策とは別の政策が用意されてはじめて担い手論が現実味を持つことになろう。また、農地の零細分散所有を担い手の団地的利用に結合していく意識的調整が必要であり、集落定住条件の整備も課題になる。農道や水路は集落に住む非農家にとっても、重要な生活環境である。集落の文化や伝統を生かす活動が進みつつあるが、そうした広義の生活環境維持の活動は農道や水路の維持管理活動もその一部に加えていて、担い手の営農を支える共生関係にある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 倉内宗一: "農地問題" 中安・荏開津編『農業経済学研究の動向と展望』. 49-61 (1996)
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[Publications] 倉内宗一: "戦前期小作耕の動向と経済的性格" 東京農工大学『人間と社会』. 第7号. 55-79 (1996)
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[Publications] 倉内宗一: "農政転換の課題と方向" 農業問題研究会『農業問題研究』. 第42号. 1-12 (1996)
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[Publications] 倉内宗一: "農地集合事業の展開条件" 農政調査委員会『農業の基本問題に関する調査研究』. 第23号. 1-28 (1997)
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[Publications] 渕野雄二郎: "農業法人化問題の論点整理" 農業・農協問題研究. 第17. 15-32 (1997)
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[Publications] 渕野雄二郎: "耕境周辺の農地環境整備手法" 協同組合奨励研究報告. 第22輯. 87-96 (1997)