1996 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の細胞骨格ニューロフィラメントの生物学的並びに病理学的意義の究明
Project/Area Number |
07456127
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
板倉 智敏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30021695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 亨史 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (90261338)
落合 謙爾 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (80214162)
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Keywords | ニューロフィラメント / ウズラ / 細胞骨格 / 軸索 / 軸索症 / 2,5-hexanadiome / モデル動物 / 神経毒 |
Research Abstract |
1.ニューロフィラメント(NF)の神経線維再生への関与について 神経線維の再生にNFがどう関っているかについては明らかではない.そこでNF欠損ウズラ(Quv)と正常ウズラの坐骨神経の一定部位を鉗子で押して砕き,2週間後その遠位部を形態学的に観察した.この結果,Quvの坐骨神経には,正常対照例に比例して再生神経線維が少なく,かつまた再生神経線維の径が細かった.さらにQuvでは,坐骨神経のミエリン層板が,対照例よりも減数していた.以上の所見は神経線維の再生遅延を示すものであり,NFが神経線維再生に大きく関ることが明らかとなった. 2.軸索腫大を引き起こす薬物の影響について NFの蓄積により軸索腫大を引き起こす薬物のQuvに対する影響を検討してきた.その薬物としては,遠位軸索症を引き起こすacrylamideとtri-ortho-cresyl-phosphate (TOCP),ならびに近位軸索症を引き起こすβ,β'-iminodipropionitrile (IDPN)を用いた.その結果,これらの薬物は何れも正常対照ウズラには各軸索症を誘発したが,Quvにはそのような変化を引き起こさなかった.これはQuvにNFが存在しないことから説明し得る.以上の薬物に加え,遠位軸索症を引き起こす神経毒である2,5-hexanedioneを正常ウズラに投与した.この結果,NFと軸索変化が引き起こされた.なお,この変化の程度は薬物の投与量と関係していた.Quvにこの薬物を投与した場合,末梢神経に軸索腫大は認められなかった.以上のように,既知のNF蓄積を引き起こす全ての薬物が,Quvでは反応しないようである.
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Research Products
(1 results)