1995 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界水によるバイオマスの高速加水分解と分解生成物のアルコール発酵
Project/Area Number |
07456148
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
林 信行 佐賀大学, 農学部, 助教授 (50173018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂木 剛 通産省九州工業技術研究所, 材料化学部, 主任研究官
藤田 修二 佐賀大学, 農学部, 助教授 (90039339)
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Keywords | バイオマス / セルロース / 加水分解 / グルコース / アルコール発酵 / 水熱分解 / 燃料ガス / 発酵阻害物質 |
Research Abstract |
超臨界水を用いてバイオマスの加水分解を高速に行うことを目的として研究を開始したが、セルロース微結晶の水熱分解処理を種々の温度・圧力条件で行ったところ、グルコースの最高収率は330℃付近で認められ、高温側ではグルコースの熱分解による収率低下を生じた。即ち、温度条件は必ずしも水の臨界点に到達する必要の無いことが判明した。このことは、投入エネルギー的に有利となる。また、圧力条件に関しては、各反応温度で最適条件が存在し、最適圧力の前後でグルコース収率が低下した。この挙動を詳細に調べたところ、純水の蒸気圧曲線近傍で、且つ、水相側の圧力条件の時、グルコースの収率が最大となった。しかしながら、生成したグルコースの熱分解により、グルコース収率は50%程度にとどまっている。また、熱分解産物として、フルフラール・HMF、有機酸が生成した。グルコース収率を向上させるには昇温速度を上げ、反応時間を短縮する必要がある(現在、反応時間は約12〜15秒)と考えられる。また、フルフラール・HMFは発酵阻害物質となるため(有機酸は阻害濃度に達していない)活性炭あるいはイオン交換樹脂によって除去し、酵母(Saccharomyces cerevisiae)による発酵試験を行ったところ、順調に発酵し、理論収量のエタノールを生産することに成功した。水熱分解処理時に到達温度を臨界点以上に上げるとセルロースの初発重量の50%がガス化した。この時のガス組成をガスクロで調べたところ、その組成は約60%がCO_2、30%がCOで、低級炭化水素あるいは水素ガス含量は僅かであった。燃料ガス化を志向する場合、水素あるいは低級炭化水素に変換されることが望ましく、目下、ニッケルを初めとした触媒存在下での水熱分解実験を始めるべく準備中である。
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