1996 Fiscal Year Annual Research Report
核蛋白(N)抗体による狂犬病ウイルス感染防御機構とNの粒子内局在部位の解析
Project/Area Number |
07457079
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Research Institution | Oita Medical University |
Principal Investigator |
三舟 求眞人 大分医科大学, 医学部, 教授 (70039915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西園 晃 大分医科大学, 医学部, 助手 (70218155)
七條 明久 大分医科大学, 医学部, 助教授 (90039917)
万年 和明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (20145361)
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Keywords | 狂犬病ウイルス / 粒子内部蛋白 / 抗核蛋白抗体 / 感染防御 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
本研究では、まず、N蛋白のウイルス粒子内局在を知るため、免疫電顕法を用いて、感染細胞から出芽中あるいは出芽直後のウイルス粒子を抗N抗体で染色した。ウイルス粒子表面はポリクローナルおよびモノクローナル抗体で染色され、また、これらの抗体を予め過剰のN蛋白で吸収するとその染色性は消失することから、粒子表面には抗N抗体と反応する物質が存在することは明らかであった。しかしながら、このことから直ちにN蛋白が粒子表面に露出されていると結論づけるには慎重であるべきであり、粒子表面の糖蛋白(G)とN蛋白の交差抗原性の可能性を種々の方法で詳しく検討すること、Nのフラグメントである可能性を現在もなお検討を続けている。しかし、これまでの成績では交差抗原性は認められず、また、ウイルス感染細胞表面にはCTLが認識する抗原エピトープは存在するが、抗体が認識するエピトープは存在しないこと、CTLのエピトープは抗体により認識されないことなどが判明しており、N蛋白そのものが何らかの形で粒子表面に露出されている可能性が大きい。抗N抗体による生体レベルの感染防御には、抗G抗体に較べて大量の抗体量が必要である。このG蛋白が関与するウイルスによる赤血球凝集反応において、抗N抗体は特に大量存在させた場合を除きこれを制御しないことは、GとN蛋白の交差抗原性がないことを支持している。しかし、抗N抗体が大量に存在すると赤血球凝集が抑制されることは、上記の生体レベルにおける感染防御で、抗N抗体がウイルスの細胞への吸着を阻害すること、さらに、ウイルスの侵入、脱殻の事象を表現すると考えられている赤血球溶血反応において、抗N抗体がそれを有意に抑制するという予備的成績は、抗N抗体のウイルス感染防御機構における新たな側面であることが予想され、研究を続行中である。
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