1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457313
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
滝 和郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70144368)
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Keywords | 塞栓術 / 脳血管障害 / カテーテル / 接着剤 / 動脈瘤 / 動静脈奇形 |
Research Abstract |
新しい液体塞栓材料として接着性のないシアノアクリレート(ISCA)を作成し以下の点について実験的検討を行った。NBCA単体、NBCAとLipiodolの等量混合物、NBCAとISCAの等量混合物、ISCA単体、ISCAとLipiodolの等量混合物、NBCAとISCAの等量混合物にその同量Lipiodolを混合したもの6種類の液体塞栓物質を用意した。 1)硬化時間の評価;重合時間に関しては、書類の上に置いたポリスチレン製24穴の細胞培養プレートに300ulのヒト血漿を入れ、各シアノアクリレート0.5mlを1mlのペニシリンシリンジからcyanoacrylateまたは、その混合液を一滴(10ul)ずつ滴下し、透見出来ていた下の文字が、重合・硬化により白化して見えなくなる迄をビデオカメラを用いて撮影した。この撮影像をコマ送りにより観察し重合・硬化時間を測定した。NBCA単体では0.1秒以下と非常に短時間で白くなるのに対し、ISCAでは10秒程度の時間を要した。従来のシアノアクリレートに比べ、重合時間が5〜10倍に長くなることが分かる。NBCAとISCAとを等量混合したものではほぼNBCAと同じ時間で重合した。従ってこの混合比を適宜調節することにより、至適な硬化時間を得ることが出来た。 2)接着力;また、カテーテルと頚動脈を用いた実験ではNBCA単体での接着力は135kgfとなったが、ISCA単体では接着力は測定出来ない程低くかった。また日本白色種家兎の実験でもカテーテル操作に特別の注意を払っていないにも拘わらず、カテーテルがISCAの混合物により血管に接着する事はなかった。カテーテルと血管の間で接着が起こると、カテーテルを抜去する際に血管組織に大きなダメ-ジを与える事になる。今回の実験でもNBCAによる接着で血管とカテーテルが外れるよりも前に血管がちぎれてしまうことが有り、臨床の場では、クモ膜下出血や脳内出血を引き起こすことになりますが、ISCAではその可能性は全くなく取り扱いの面で非常に優れた特徴を持っていると言える。 3)粘度;NBCAが3.162cPであるのに対して、ISCAは7.420cPと有意に粘性が高く、実用上に支障を来す可能性が心配されたが、後述するように家兎腎動脈へのマイクロカテーテルに拠る注入に際し何等抵抗無く、臨床応用上の問題は無い範囲と考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 滝 和郎: "脳動脈瘤の血管内治療-現況と将来" INNERVISON. 12,6. 23-26 (1997)
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[Publications] 坂井 信幸: "破裂脳動脈瘤の急性期治療-脳血管攣縮を含めて" INNERVISION. 12,6. 27-32 (1997)
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[Publications] 入江 恵子: "後頭窩動脈瘤の血管内治療" INNERVISION. 12,6. 33-38 (1997)
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[Publications] 中原 一郎: "巨大脳動脈瘤の血管内治療" INNERVISION. 12,6. 39-45 (1997)
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[Publications] 入江 恵子: "離脱型コイルを用いた内頸動脈眼動脈分岐部動脈瘤の 血管内治療" 脳神経外科ジャーナル. 6. 363-368 (1997)
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[Publications] Keiko Irie: "Intra-aneurysmal Occlusion of Cerebral Aneurysms Using Detachable Coils Correlation of Aneurysm Neck Size and Treatment Results" Interventional Neuraradiology. 3,2. 114-117 (1997)
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[Publications] Keiko Irie: "Endovascular Treatment of a Partially Thrombosed Giant Basilar Tip Aneurysm Using Interlocking Detachable Coils-Case Report-" Neurologica medico-chirurgica. 37,9. 681-684 (1997)
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[Publications] Akiyo Sadato: "Effect of electrical thrombosis on coil embolization of experimental aneurysms" J.Neurovascular Disease. 2,6. 235-245 (1997)